<コラム 筆洗>元(げん)の軍が日本を襲った元寇(げんこう)は鎌倉時代に起…

2022年6月24日 07時06分
 元(げん)の軍が日本を襲った元寇(げんこう)は鎌倉時代に起きた▼当時の元の沈没船が長崎県松浦市の沖で見つかり、調査した琉球大教授が発表したのは二〇一一年十月。七百年以上も海底に眠った敵船の発見は、話題になった▼全長は推定二十メートル超。船底には元軍の陶製のさく裂弾もあった。一四年には二隻目が見つかった。経緯に詳しい井上たかひこ氏の著書『水中考古学』(中公新書)によると、一帯は元寇に関する伝承も多く、一九八〇年以降の調査で鉄製品なども見つかっていた▼文化庁が、沈没船や湖底の集落跡など水中遺跡の保護を図るため、文化財としての指定や登録を推進すると先に報じられた。確認されている水中遺跡は約四百カ所という。明治時代に伊豆沖で座礁したフランスの貨客船ニール号は有名。陸の遺跡と比べ学術調査は不十分という。文化庁は今春、発掘技術や事務手続きなどを記した自治体向けの手引も作った▼手引によると、諸外国で水中遺跡の保全が進んだのは、財宝を探す「トレジャーハンター」による盗掘を防ぐためという。八〇年代、米フロリダ沖のスペインの沈没船から宝飾品が見つかり、発見者の権利か遺品の保護かで論争になった▼日本周辺で盗掘の話が聞かれず、保全があまり進まなかったのは、海域が比較的深いことも背景にある。ハンターも手を出せなかったお宝が、眠っているのだろうか。

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