<寄席演芸の人びと 渡辺寧久>笑い支える立役者 「真打ち競演」制作統括・河合千尋さん 

2022年6月24日 07時26分

河合千尋さん

 「普段、寄席に行けない地域の方々に寄席演芸の今を伝えたい。お客さんが寄席に行ってみたいなと思ってくれたらいいですね」
 基本的に毎月一回、日本各地で公開収録を行い、地元の観客に落語や漫才などで笑いを届けている河合千尋さん(49)は、演芸番組を制作する喜びをそう伝える。「生の演芸で元気になった!とお客さんに言われるのがうれしい」
 二時間の高座は、「真打ち競演」(NHKラジオ第一、最終週を除く毎週土曜午後一時五分)で、二回に分けて放送される。
 二〇一四年から番組に携わり、一九年に制作統括に。四人の少数精鋭体制で同番組と、河合さんが一八年に立ち上げた二つ目格が中心の「NEXT名人寄席」(同、最終土曜午後一時五分)を手掛ける。

茨城県利根町での収録で。(左から)柳家わさび、五街道雲助、立花家橘之助。

 東京・両国生まれの両国育ち。演芸は暮らしの身近にあり、高校生のころは、上野鈴本演芸場の早朝寄席にはまっていた。
 一九九六年、NHKに入局。「若者番組をやりたい!」と希望していたが、最初の配属番組は「コメディーお江戸でござる」。以来、「爆笑オンエアバトル」や「談志&爆笑の芸能大全集」などで演芸沼にどっぷり。「演芸の専門の方がいいのかな」と考え始め、制作者として寄席演芸を支える覚悟を決めた。
 全国各地のNHKの事業担当と連携し、会場を決めることから始まる「真打ち〜」。収録当日は河合さんが顔付(かおづ)け(出演者を決めること)した東京の演者六組とスタッフ合わせて十数名の一行で、飛行機や電車、バスを乗り継ぎ、時には半日がかりで会場を目指す。
 一泊二日の旅仕事。コロナ禍で会話もままならないが、「移動時間に師匠の皆さんから貴重な話が聞ける。(柳家)さん喬(きょう)師匠がいろいろやさしく教えてくださったこともありました。演者さんにも、所属協会を超えて顔付けするので交流ができる、と喜ばれています」。
 スタジオ収録の「NEXT名人寄席」も、今年九月に初めて前橋市で公開収録を行う。柳亭小痴楽MCの夏の特番(同、八月二十八日午後四時五分)も決定した。河合さんは演芸人を支え続ける。 (演芸評論家)

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