皇居のお濠からシンボル・白鳥が消える? 実は外来種の翼を手術し放鳥…高齢化と動物愛護から見直しも

2022年6月24日 12時00分

皇居外苑の桔梗濠をゆっくり泳ぐコブハクチョウ=東京都千代田区で

 皇居のおほりのシンボルとして親しまれているコブハクチョウが将来、姿を消すことになりそうだ。来年は初の放鳥飼育から70年を迎えるが、当初の24羽は5分の1の5羽まで減り、老齢化も進んでいる。新たに他の施設から譲り受けることは動物愛護の観点などから難しい状況だ。(阿部博行)

◆千代田区の鳥として親しまれ

 皇居外苑を管理する国民公園協会によると、1953年、東京動物園協会の有志でつくる「ハクチョウをお濠に放つ会」を通じ、皇居外苑保存協会(現在の国民公園協会)に上野動物園から15羽とドイツのハーゲンベック動物園から9羽の計24羽のコブハクチョウが贈られた。地元の千代田区は84年にコブハクチョウに親しみを込めて区の鳥に制定している。
 現在の5羽のうち4羽は20歳以上の高齢と推定され、2羽は性別が不明。もはや繁殖は期待できず、桜田濠と馬場先濠、和田倉濠、桔梗濠、はまぐり濠に1羽ずつ放ち、固形の餌を与えている。
 過去には名古屋城(名古屋市)や彦根城(滋賀県彦根市)、茨城県の牛久沼(龍ケ崎市)などと白鳥の譲渡や交換を行ってきた。だが病死や縄張り争い、石垣の隙間に首を挟まれる事故などで飼育数が減少。卵やヒナはカラスやお濠のスッポンに襲われるなどした。

◆人間のエゴ? 千葉では農業被害も…

 外来種の白鳥を観賞用に放鳥飼育する場合、飛んで逃げないように毎年伸びる風切り羽を切り取る措置か、より慎重に翼のけんを切って飛べなくする手術が行われる。皇居のお濠の白鳥は万一、交通事故などに巻き込まれないよう片翼に手術が施されている。
 国民公園協会の岡本栄治本部業務部長によると、動物愛護の考え方も70年前から変化し、愛鳥家から「白鳥を涼やかな皇居の点景と見るのは人間のエゴ」「お濠は白鳥にとって過酷な環境だ」といった批判が寄せられているという。
 環境省は2010年に新たな白鳥の移入や増殖に否定的な方針を示した。最近は千葉県の手賀沼周辺などで野生化した白鳥による農業被害も問題になっている。
 岡本さんは、岐路に立つお濠の放鳥飼育に「国や都区など関係者と協議して方向性を見いだす時期に来ている」と話した。

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