コロナ療養中なのにオンラインで授業をした…教員不足が深刻 「現場はぎりぎり」「残業100時間超」

2022年6月25日 06時00分
 「5月の残業時間は100時間を超えた」。都内公立中学校に勤務する40代男性教員は苦笑する。新型コロナウイルス禍が落ち着き、宿泊を伴う校外教室や運動会など大型行事が続いた。部活動も復活し、業務量が一気に増えたという。(小松田健一)
【関連記事】参院選2022特設ページ

◆東京都は不足ゼロ? 現場は「実感とは異なる」

 「午後6時半までは部活動で生徒に接するので、昼間できなかった校務はそれ以降になる」。日付が変わってから退勤した日も。産休・育休に入った教員の補充がないことは日常的だ。
 他校の厳しい状況も耳に入る。ある中学校は新学期から技術科教員が不在となり、近隣校から出向いて授業をしているという。
 文科省は昨年度、教員不足について、全国の公立小中高校と特別支援学校を対象とした全国調査を初めて実施。全国では昨年4月の始業日時点で、2558人が計画通りに配置されていなかった。
 東京都は小中学校とも不足ゼロという結果だったが、都内公立小学校の60代男性教員は「実感とは異なる」と首をかしげる。
 今年3月に新型コロナに感染し、ホテルでの宿泊療養となった。補充教員がいないため、上司の要請を受けてホテルからオンライン授業を行った。「学級担任なので、子どもたちにずっと自習をさせるわけにはいかなかった」「現場はぎりぎりの人数で回しており、複数の目で子どもを見ることができない」と、学びへの悪影響を懸念する。

◆「必要な人員を正規雇用で採用するのが先決」

 教員不足は産休・育休取得者の増加と取得期間の長期化、特別支援学級数の増加で必要とされる教員が増えたこと、多忙な業務を敬遠し教員志望者が減少したことなど、さまざまな要因が絡み合う。

記者会見で教員不足の早期解消を訴える「♯教員不足をなくそう緊急アクション」のメンバー=6日、文部科学省で

 教員や研究者有志でつくるグループ「#教員不足をなくそう緊急アクション」は今月6日、教員免許制度の柔軟な運用といった応急処置を講じた上で、1学級の標準的な児童生徒数をもとにした教員定数である「基礎定数」の見直しなど根本的な施策が必要とした。
 グループメンバーで元小学校教員の小林大介さん(37)は「教委事務局や財政担当部局に、人件費削減のため『人余り』を過剰に恐れる雰囲気がある。管理職と一線の教員、双方が疲弊している」と、業務量を減らす必要性を強調した。
 文科省は4月、教員不足へ緊急的に対応するため「特別免許状制度」の活用を促す通知を全国の都道府県教育委員会などに出した。英会話講師など一定の知識や経験を持つ社会人を教員免許がなくても採用できる制度だ。
 しかし、前出の40代男性教員は「広く門戸を開くという点では良い面もあるが、教員不足の対策としては付け焼き刃と思う」と疑問を呈する。参院選で各党は教育分野の政策にデジタル化推進や高等教育無償化などさまざまな公約を盛り込む。小林さんは「必要な人員を正規雇用で採用するのが先決だ」と訴える。

おすすめ情報