<コラム 筆洗>「家が凶器になった」。阪神大震災の犠牲者の遺体を検視した神…

2022年6月25日 06時55分
 「家が凶器になった」。阪神大震災の犠牲者の遺体を検視した神戸大教授が、かつて取材に語った▼地震発生時刻は、多くの人が寝ていた午前五時四十六分で、倒れた家の下敷きになって亡くなる人が相次いだ。検視では圧迫された胸や腹だけが白く、足などが紫色にうっ血している点が共通していたという。犠牲者の約八割が家屋倒壊による圧死や窒息死だったとされる。古い木造建築が多く倒れた▼アフガニスタンで先日起きた地震も、家が凶器になったようだ。発生は午前一時半ごろ。多くの家が倒壊し、死者は千人を超すとみられる▼現地には、日干しレンガの家が多いとテレビが報じていた。粘土を成形し天日で乾燥させたレンガを、泥を接着剤にして積む。揺れにはもろかろう。被災直後、人々ががれきをシャベルや手で掘り返す様子も伝えられた。パキスタン国境に近い山間部で未舗装の道が多い。十分な支援が届くには時間がかかるかもしれない▼戦乱が続き、干ばつにも悩まされてきた国。米軍撤退に伴い、昨年八月にイスラム主義勢力タリバンが実権を握ると、多くの海外支援団体が去り、制裁でさらに困窮した。世界食糧計画(WFP)などが、今年六月から十一月にかけ人口の半分近くが深刻な食料危機に陥るとの予測を発表し、やがて起きた今回の地震▼この国の人々の生命を脅かす凶器は、貧困でもある。

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