「原発、コロナとトリプルパンチ」福島で聞いた、物価高と原発再稼働への不安<くらし直撃~2022参院選>

2022年6月26日 06時00分
桃の成育状況を確認する佐藤孝仁さん=22日、福島市で

桃の成育状況を確認する佐藤孝仁さん=22日、福島市で

 物価高は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興途上にある被災地の人も苦しめている。

◆肥料の値段は1.5倍、燃料も…厳しい農家

 「原発事故、新型コロナ禍ときて物価高。トリプルパンチを食らった気分です」。岸田文雄首相(自民党総裁)が参院選の第一声を放った福島市内で桃などを生産する「佐藤果樹園」の佐藤孝仁たかひとさん(45)は肩を落とした。
 コロナ禍の前は近くの旅館でも働いていたが、2年前の緊急事態宣言で仕事がなくなり、農業以外の収入が途絶えて久しい。
 桃の木にまく肥料の値段は、昨年と比べ「既に1.5倍に跳ね上がっている」という。原料の一部を、ウクライナに侵攻したロシアの友好国・ベラルーシなど海外からの輸入に頼っているからだ。そこに急激な円安が追い打ちをかける。参院選公示日の22日、取引先から「さらに上がるのは確実だ」と告げられた。果樹の手入れに使う機械の燃料代も高騰の一途だ。
 参院選では防衛費の大幅増を訴える政党もあるが、「難しいことは分からないけど、次世代の子どもや高齢者、病気の人など弱者を大切にする政治が必要じゃないか」とつぶやいた。

◆「『3・11』はまだ終わっていない」

 子育て中の家庭からも、不安が漏れた。小学6年の男児を育てる女性(48)は飲食店のアルバイトで家計を下支えするが「ガソリンの値上がりは恐ろしいほど。このままだと生活が成り立たない」とこぼした。スーパーで商品の値上げを見た女性(36)も「子どもに十分な栄養を取らせてあげられるか」と表情を曇らせた。
 参院選では、複数の政党がエネルギーの安定供給を理由に原発の再稼働を主張している。小学校周辺の放射線量をボランティアで測定している佐藤典子のりこさん(75)は「物価高を再稼働に結びつけるのはおかしい」と不満を口にした。
 22日、ある小学校の前で測定した空間放射線量は、除染の目安とほぼ同じ毎時0.234マイクロシーベルトを記録。「福島の『3・11』はまだ終わっていない。大切なのは人。真に人に寄り添う政治をお願いしたい」と力を込めた。(佐藤裕介、写真も)

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