<参院選・ここに注目>忘れてはいけないこと 社会部長・飯田孝幸

2022年6月26日 06時00分
 電力不足への対応や電気料金抑制の手段として、原発再稼働を推進すべきだという声が聞こえてくる。岸田文雄首相は15日の会見で物価高対策として再稼働推進を挙げた。
 電力不足や物価高への対応は重要だが、その手段として原発再稼働に飛び付いていいのだろうか。東京電力福島第一原発の事故は多くの人の日常を奪った。絶望から命を絶った人もいる。同じ悲劇を繰り返さないために原子力規制委員会による安全性の審査が厳しくなった。
 審査をクリアし、地元の理解を得られなければ原発は再稼働できない。それは電力不足や物価高と別次元の話だ。事故から11年で大切なことが忘れられそうになっている。
 受け継がれた戦争の記憶。これも忘れてはいけない。沖縄慰霊の日の23日、小学2年の少女は「こわいをしって、へいわがわかった」と、詩を朗読した。戦争の惨禍を知ることは、平和への一歩となる。
 焦土となった日本から平和憲法が生まれた。元沖縄県知事の故大田昌秀さんは戦争放棄をうたった憲法を初めて見たとき、そこに新たな国の姿を見て、体が震えたという。
 原発も憲法も国の在り方にかかわる大きな問題だ。再稼働の是非、改憲の是非は候補者に大いに論争してほしい。目先の現実への対応を語るだけでなく、なぜ再稼働に慎重でなくてはいけないのか、どうして平和憲法が生まれたのかという原点も忘れないでほしい。

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