<各駅停車>余命わずかな女の子

2022年6月26日 07時43分
 「パパあっち行って」。拒否は突然始まった。入院中の県立小児医療センターで、六歳になったばかりの余命わずかな女の子。父親はみるみる元気をなくした。
 病院関係者が女の子と遊んでいた時、ふと口にした。「本当はパパとも遊びたいんだ」「六歳は大人でしょ」「大人の女の人は男の人と簡単に遊ばないんでしょ」と女の子。「○○ちゃんがパパと遊ばないなら私が誘っちゃうよ」と水を向けると、「天野さん四歳みたい」と笑った。
 関係者とは、チャイルド・ライフ・スペシャリストという院内で子どもの心理サポートをする専門職の天野香菜絵さん(37)。今も思い出す十年前の一場面を教えてくれた。亡くなる前に女の子の本音を知ることができ、両親は泣き笑いしていたという。
 病と格闘する親子のエピソードに、涙をこらえ切れない取材だった。(浅野有紀)

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