<フロンティア発>諏訪湖「釜穴」の仕組み解明

2022年6月26日 07時46分

諏訪湖の湖面に現れた直径約40メートルの釜穴=海洋機構提供

 長野県の諏訪湖は冬に氷に覆われますが、ところどころ「釜穴」と呼ばれる大きな穴が現れます。この穴ができる原因を海洋研究開発機構(海洋機構)や信州大などのチームが解明しました。活断層の動きに関係するといいます。
 諏訪湖は、湖面の氷に亀裂ができて山のようにせり上がる「御神渡(おみわた)り」で有名です。そのほか直径数十メートルの大きな穴も現れます。湖底の決まった場所からメタンガスが湧き出続けるため湖面が凍らず、穴ができるのです。湖底の微生物もメタンガスを出しますが、釜穴ができるほどまとまった量のガスが出続ける現象は説明できませんでした。
 チームが釜穴のメタンガスを採取し、炭素の同位体C14の量を調べたところ、ガスは長いあいだ地下深くに閉じ込められていたことがわかりました。メタンは地下から湧き出してきたのです。
 地下にメタンがあるのは活断層の活動の結果といいます。諏訪湖と諏訪盆地は糸魚川−静岡構造線断層帯という活断層の多い場所にあり、2本の活断層に挟まれています。2本が行き違うように動くと、挟まれた部分は引き裂かれるように開いてくぼみます。そこに周囲から土砂や水が流れ込み盆地と湖ができました。
 数十万年もの間、落ちくぼんでは土砂が堆積することが繰り返され、盆地の地下には砂や泥の層が幾重にもたまりました。海洋機構で研究する日本学術振興会特別研究員の浦井暖史(あつし)さんは「土砂とともに流れ込んだ有機物が微生物に分解されて数万年前にメタンガスが生まれ、ガスを通さない泥のような地層の下に閉じ込められていた」と説明します。ガスがたまっているのは地下150メートルより深い場所とみられます。断層活動の影響で盆地内の地盤には細かい亀裂がたくさん走っています。メタンガスはその亀裂を通って湖底に湧き出てくるのです。
 諏訪湖の水を調べると、地下のメタン由来の炭素が10%含まれていました。湖のプランクトンも同じでした。魚や鳥などの炭素を調べれば、諏訪湖の動植物をどれだけ食べているかなど食物連鎖も推定できると期待されます。 (永井理)

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