物価高がひとり親、非正規雇用の家計を圧迫 フードバンク利用者コロナ前の3倍<くらし直撃~2022参院選>

2022年6月27日 06時01分
 「給料が上がらないのに生活は困る一方」—。新型コロナウイルス禍に加え、ウクライナ情勢などに伴う物価高騰が、経済的に苦しいひとり親家庭の家計を一層圧迫している。個人や企業から寄付された食品を無料配布する各地のフードバンクでは利用者の増加が目立ち、悲鳴が上がる。

◆子どもの学費のため節約、食費助かる

 「ガス代がどんどん上がって毎月請求書を見て驚いている。野菜も高いのでお弁当のおかずは作らず、スーパーで総菜が値下がりするのを待って買っている」

フードバンクで配布された食糧をバッグに詰める女性利用者。「子どもが食べ盛りなので助かる」と話す=いずれも東京都江戸川区内で

 6月上旬の午後、JR新小岩駅近く。民間団体「フードネット江戸川」(東京都江戸川区)が運営するフードバンクの拠点で、訪れたパート女性(60)はそう漏らした。
 高校3年の息子と暮らすシングルマザー。コロナ禍が本格化した2020年5月からフードバンクを利用する。同団体は区内のひとり親や生活困窮者向けに、個人や企業から寄付された米やレトルト食材、缶詰のほか地元産の野菜を配布。受け取れるのは月に1回に限られるが、女性は「子どもの学費のために節約していて、少しでも食費を抑えられるのは助かる」と話す。
 同団体によると、利用世帯数は19年度は月平均22.7世帯だったが、コロナ禍が始まった20年度は同48.1世帯、21年度は同69.2世帯とコロナ禍前の約3倍に増加した。代表の棚橋幹夫さん(74)は「ひとり親の利用者は非正規雇用の人が多い。コロナ禍で生活が苦しくなった人が増えた」という。

◆「子どもが好きなミニトマト98円が298円…もう買えない」

 さらに最近は増加傾向が強まっていると感じる。「今年2月からは毎月80世帯を超えるようになった。物価高騰の影響も出ているのかもしれない」。2月下旬にはロシアがウクライナ侵攻を開始。以後は物価上昇が広まっている。

フードバンクで配布する米を用意するスタッフ。配布量の急増で事務所は手狭になっている

 ひとり親世帯向けのフードバンクを関東と関西で展開する認定NPO法人「グッドネーバーズ・ジャパン」(GNJP、大田区)でも、担当者が「今年3月ごろから物価高騰が困るという声が増え、切迫した状況になりつつある」と話す。21年に首都圏で新規利用登録をした人は763人。コロナ禍前の5.7倍と急増している。さらに今後も増えるとみる。
 GNJPは今月上旬、関東と関西で今月分の配布を希望した1267世帯に物価高騰についてのアンケートをした。「子どもはミニトマトが好きだが、98円だったのが今では298円。もう買ってあげられない」「光熱費が昨年の倍になった」「食費をこれ以上切り詰められず、量を減らすしかない」などと切実な訴えが次々に届いた。
 GNJPでは1回の配布内容を1万円相当にしてきた。担当者は「夏から秋にかけてまた食品が値上がりすると、中身を少なくせざるをえないかもしれない。利用者増に応えるためにも、寄付をもっと集めないと」と焦りを募らせる。(太田理英子、写真も)
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