<かながわ未来人>精神科病院の入院患者に無償で贈り物 「ソースフルギフト」代表・菊池奈々子(きくち・ななこ)さん(34)  

2022年6月27日 07時41分
 精神科の閉鎖病棟に入院した経験から、精神科病院に入院する患者に対し、無償で衣服などを贈る活動を続けている。
 「ひとりじゃないよね」「ゆっくりいきましょう」。活動の趣旨に賛同する人たちからの応援メッセージを手に、「外とつながっている感覚や、病院の外で待っていてくれる人がいるイメージを持ってもらえれば」とほほ笑む。
 神奈川県藤沢市出身。短大卒業後、会計事務所などで働いてきた。現在は川崎市に住んで、昨年四月からソースフルギフトの活動を続ける。
 菊池さんによると、精神科病院には、薬をもらいに来て即入院するケースなど準備ができない人も多い。菊池さん自身の入院の際には準備期間があったが、自殺や事故を防ぐため、液体やひもがついた持ち物は規制され、準備した半分ほどしか持ち込めなかった。
 「ほかの患者さんも同様の思いをしているのでは」と考え、患者の寂しさや孤独に寄り添う一つの方法になればと活動を始めた。
 当初は無償の贈り物を病院から警戒されることもあったが、口コミで活動が伝わり、これまでの支援件数は七十七件に。県内十三病院に利用が広がっている。
 贈り物は、ミーアキャットから名前を取って「ミーアの贈り物」と名付けた。患者や看護師らからの依頼を受けて、衣服や衛生用品などを送り届けている。
 病院のケースワーカーからは「患者さんとのコミュニケーションのきっかけになった」との声があり、患者からも「緊急入院で金銭も持っておらず、助かった」とメッセージが届いた。「頼れない人も多いので、ヘルプを出していいというのを伝えられれば。自分も活動を続ける中で、頼れる人が増えた」と語る。
 三月と六月には入院患者に向けたメッセージを町なかで募り、百七十枚も寄せられたという。これまでに大手引っ越し会社やテレビCM制作会社などの企業やNPO、個人から寄付を受けてきた。贈り物の中でも患者の希望が特に多い衣類は寄付ではなく、購入することが多いという。
 「企業で廃棄予定のものがあれば寄付してほしい。退院した後、自分のことを応援してくれた企業を見つけられるよう、賛同企業を増やしていきたい」 (竹谷直子)
<ソースフルギフト> 横浜市に拠点を置く一般社団法人で、正式名称は英字名の「Thoughtful Gift」。役員2人、ボランティア16人で活動している。衣類やシャンプーなどの消耗品、食品など必要な贈り物をリスト化し、ウェブとファクスで依頼を受け付けている。活動や寄付の詳細は、ホームページ(https://www.thoughtfulgift.org/)へ。

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