<社説>能登の群発地震 なおも続く覚悟と備え

2022年6月27日 07時33分
 石川県能登地方を震源とした地震は二〇二〇年十二月から続いている。震度1以上の地震は百六十回にも達し、ついに先週、能登半島の先端・珠洲市で震度6弱、5強の強い揺れを連日観測した。
 一連の群発地震で最大級の地震となり、地域住民も「ついに来たか」と避難を急いだ。けが人は七人、鳥居、ブロック塀や墓石のほか、伝統産業である七輪の焼き窯が崩壊し、奥能登観光のシンボル「見附島」は一部が崩れた。日増しに被害報告は広がっている。
 発生のメカニズムは特定されていないが、地下深部からの流体に起因する説が有力視される。震源地に活断層はなく、能登には火山もないことから、複数の専門家は地殻変動とみて、こう説明する。
 能登半島の地下深くには、大量の水を含んだ太平洋プレートが沈み込んでいる。水を取り込んだ岩石から水が分離し、岩盤中の隙間に入ると圧力が高まり、岩を押し上げて破壊することで次々と地震を起こす。
 国土地理院によると、珠洲市の観測点では、ここ一年半に四センチの隆起がみられた。水が岩盤を膨張させた影響が地表に表れたものと推測されている。
 地下の流体が群発地震を起こした例には一九六五〜七〇年の長野県・松代地震がある。五年間で震度1以上を六万回も観測し、大量の水が地表に噴き出て収まった。
 能登でも長期戦の覚悟が必要かもしれない。「数カ月から数年は続く」という専門家もいる。弱めの余震ではなく、今回起きたのと同規模の強い地震が続く可能性も否定できないという。
 でき得る備えを徹底しよう。過疎の奥能登には一人暮らしの高齢者宅や空き家も多い。地域を挙げて全家屋で家具を固定するなど就寝時の安全確保を最優先したい。震源が浅く緊急地震速報の前に揺れが来ることも想定し、命を守る行動を体得し合ってほしい。
 梅雨本番を迎え、地盤が緩んだ地域での土砂災害にも警戒せねばならない。夏の観光シーズンを前に風評被害対策も必要となろう。

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