<社説>平和守るために 防衛力偏重は打開策か '22参院選

2022年6月27日 07時34分
 参院選ではロシアのウクライナ侵攻や中国、北朝鮮の軍備拡張を背景に、外交安全保障政策が主要争点の一つに浮上している。
 問われるべきは世界や日本周辺の情勢をこれ以上、緊張させないために何をすべきか、である。
 二〇二二年度の日本の防衛費は国内総生産(GDP)比1%弱の約五兆四千億円。二一年時点で予算は世界九位(スウェーデンの研究所による集計)、強さは同五位(米軍事会社の評価)だ。
 防衛力の主眼は、日本を攻撃しても反撃されて目的を達することができないと思わせる「抑止力」だ。その効果を確実にするには、防衛力をどの程度整備すればいいのか。議論は割れている。
 自民党は現在の二倍に当たるGDP比2%以上を念頭に、防衛力を五年以内に抜本強化するとの公約を掲げた。具体策として相手領域内でミサイル発射を阻止する敵基地攻撃能力の保有を訴える。日本維新の会、NHK党も「2%」を公約に明記した。
 立憲民主、公明、国民民主各党は数値目標や年限には触れず、防衛力の「向上」や「強化」を訴える。共産、社民両党は防衛力強化に反対。両党とれいわ新選組は平和外交を前面に掲げる。
 厳しさを増す周辺情勢に応じて防衛力を整備する必要性は認めるとしても、「数値目標ありき」で予算を増やすことが打開策たり得るのかは甚だ疑問だ。
 五年という短期間に防衛費を倍増すれば、周辺国の警戒を招いて軍拡競争に拍車をかけ、逆に緊張を高める「安全保障のジレンマ」に陥りかねない。自民党は防衛費倍増の財源も示しておらず、とても現実的な選択肢と言えまい。
 防衛費を倍増すれば世界三位の「軍事大国」になり、敵基地攻撃能力を持てば先制攻撃の意図を疑われる。それでも憲法九条に基づく専守防衛は維持できると言い切れるだろうか。平和国家の道から外れてしまうのではないか。
 戦争は外交の失敗にほかならない。いったん始まった戦争を終わらせることは難しい。外交安保政策の基本は、戦争を始めない、始めさせないことだ。防衛力増強に偏った姿勢はこの基本に背くことにならないか。参院選でも問われなければなるまい。

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