日本の写実の魅力探る 足利市立美術館で企画展 彫刻・絵画120点

2022年6月27日 08時08分

大作「Mother」について語る水野暁さん

 日本の写実美術の魅力を探る企画展「リアル(写実)のゆくえ−現代の作家たち 生きること、写すこと−」が栃木県足利市立美術館(通2)で開かれている。明治以降、西洋の写実芸術とせめぎ合いながら発展した日本独特の写実美に改めて光を当て、現代までの国内作家26人の彫刻と絵画約120点を展示している。7月21日まで。(梅村武史)
 注目を集めるのは、群馬県東吾妻町在住の画家、水野暁(あきら)さん(48)の作品「Mother」(二〇一七〜一八年作)。
 パーキンソン病を患い、意識のうつろな母を一年間見守り、二次元の世界に落とし込んだ。赤い血管や皮膚の切れ端のようなものが体から放射され、うっすらと顔や手足が浮かぶ。「私の心がとらえた母のリアル。人間は動き続けており、写真のようにはならない」と語った。
 人形師の松本喜三郎の「池之坊」(一八七一年)や安本亀八の「相撲生(いき)人形」(九〇年)は、額や口元のしわ、浮いた脈などが驚くほど精緻で西洋人もそのリアルさに衝撃を受けたと伝えられる。絵画では明治期の画家、高橋由一(ゆいち)作の「読本と草紙」(七四年)、「豆腐」(七七年)など写実性の高い油彩画が並び、その他の現代作家も個々、独自の視点で写実芸術と向き合っている。

松本喜三郎作の「池之坊」=いずれも足利市で

 企画展は同館をはじめ、神奈川県の平塚市美術館や新潟市美術館など六美術館の学芸員による共同企画。足利市立美術館の江尻潔学芸員は「形だけでなく内面に宿る本質を捉えようとするところに日本独自のリアルがある」と語る。
 関連プログラムとして、七月三日、美術家の小谷元彦さんによる記念講演会を開催。要予約。同十七日には、川崎市岡本太郎美術館の土方明司館長らを招きギャラリートークもある。
 月曜休館(七月十八日は開館し、翌日休館)。問い合わせは足利市立美術館=電0284(43)3131=へ。

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