余剰食品寄付 より手軽に フードドライブ コンビニやスタジアムでも

2022年6月27日 08時15分

寄付された食品を手にする山本さん(左)と中村店長=名古屋市昭和区のファミリーマート昭和塩付通一丁目店で

 家庭などで余っている食品を持ち寄り、生活に困っている人の支援に役立てる「フードドライブ」が少しずつ広がっている。役所など行政が日時や場所を決めて受け付ける例が多いが、最近はコンビニエンスストアやプロスポーツの会場といった多くの人が集まる身近な場所での取り組みも目立つ。多様な主体が動き始めている現場を見た。 (海老名徳馬)
 ドライブは、英語で「(募金などの)運動」や「活動」の意。名古屋市昭和区のファミリーマート昭和塩付通一丁目店では、昨年四月から飲食コーナーにフードドライブ用の箱を置く。寄付は、一カ月で容量五十リットルの箱四つ分に上るという。中村茂治店長(48)は「店員も気がつかない間にいっぱいになる」と笑顔だ。
 集まった食品は、一人親の困窮家庭に食べ物を箱詰めして贈る愛知県母子寡婦福祉連合会の事業「スマイルBOX」で使われる。さまざまな人が思い思いの品を持ち寄るため米やレトルト食品、缶詰、カップ麺など種類が豊富なのが特徴。「一人じゃないと思えた」「『おかわりしていいんだよ』と子どもに言えた」といった喜びの声が寄せられているという。
 ファミリーマートでのフードドライブは、二〇二〇年十二月、愛知県日進市の店舗が最初だ。地元の子ども食堂からの依頼がきっかけ。昨年四月、運営会社「ファミリーマート」(東京都港区)が全国のフランチャイズ(FC)加盟店に実施を呼び掛けて広がった。コロナ禍の中、食品を扱う地域のコンビニとして、困窮家庭の支援を目指す。
 名付けて「ファミマフードドライブ」。受け付けるのは、賞味期限まで二カ月以上あり、常温で保存できる未開封の食品だ。昨年は約三万六千食分に当たる一九・六トンが集まり、地域ごとに自治体やNPOなどを通じて子ども食堂や困窮家庭に届けられた。
 実施店舗は二十日現在、四十一都道府県で千四百八十二店。今後さらに増える見込みだ。同社サステナビリティ推進部マネジャー、大沢寛之さん(47)は「コンビニは、ほとんどが二十四時間営業していることも寄付がしやすい」と説明する。
 年齢や性別、住む場所も異なる大勢が集うスポーツ会場での取り組みも始まっている。サッカーJリーグ一部(J1)の名古屋グランパスは、本拠地の豊田スタジアム(同県豊田市)での試合で昨年四月から今年五月の計四回、フードドライブを呼び掛けた。グランパスと、貧困などで十分に食事ができない人を支援する認定NPO法人「セカンドハーベスト名古屋」の両方でボランティアをする男性の提案を受けた。

食材を持ち寄るサポーターら=5月、愛知県豊田市の豊田スタジアムで(名古屋グランパス提供)

 寄付は一回目の八十六キロから、今年三月は百九十キロに増加。広報担当者は「コロナ禍で試合ができない時期もあった中、地元の人に喜んでもらえることは何かと考えた」と話す。今後も定期的に実施する。

◆物価高 需要に追いつけず危機感

 2021年度、セカンドハーベスト名古屋が食品を支援した世帯は7700余り。20年度も7000世帯ほどと、コロナ禍前だった19年度の5000世帯から大幅に増えた。
 加えて、最近の物価高で困窮する家庭はさらに多くなりそうだ。理事の松岡篤史さん(67)によると、現在は高まる需要に寄付が追いついていない。物価高は食品メーカーも直撃しており「経営が厳しくなれば、寄付に回る食材が減ってしまうのでは」と危惧する。
 個人などからの寄付に、団体で購入した食材を加えて贈っている愛知県母子寡婦福祉連合会事務局長の山本広枝さん(65)も危機感は同じ。「買える量が少なくなる不安はある。フードドライブに多くの人が関心を持ってくれれば」と話す。

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