「災害級の暑さ」で続く節電要請 エアコン止めずに何ができるの? 東電管内に電力逼迫注意報

2022年6月29日 09時27分
 関東地方などで連日、猛暑日となる中、政府は27日以降、東京電力管内などで節電を呼び掛ける「電力需給逼迫ひっぱく注意報」を出し続けている。一方、日本救急医学会は28日に緊急会見し、梅雨明け直後で体が暑さに慣れていない時期に猛暑日が続く現状を「災害級の暑さ」と強調。命を守るため、「節電でもエアコンは使って」と訴えた。今後も高温や発電所のトラブルによって厳しい状況が続く恐れはある。経済産業省の発表によると、29日で特に需給が厳しいとみられるのは午後3~8時。エアコンは使いながら、どんな節電ができるのか。(デジタル編集部・福岡範行)

◆エアコンは設定だけでなく…

 経産省資源エネルギー庁(エネ庁)の省エネポータルサイトの「家庭でできる省エネ」によると、夏に家庭で消費される電力の割合は、エアコンが34.2%で最も多く、冷蔵庫(17.8%)、照明(9.6%)と続く。待機電力(6.0%)やテレビ・DVD(4.6%)も一定の割合を占めている。
 命に関わる熱中症のリスクを考えれば、冷房の使用をためらうわけにはいかない。その上で、まずできることは冷房の設定を28度を目安にすること。注意点は、設定温度が28度でも室内の温度が28度にならないケースがあることだ。環境省はウェブサイトの「どうして『28℃』?」の解説で、室内にいる人の体調などを考慮しながら「無理のない範囲で冷やし過ぎない室温管理」をするように呼び掛け、室温28度でも快適に過ごせる服装などにすることが「クールビズ」だと説明している。
 エネ庁は設定温度以外の工夫として「レースのカーテンやすだれなどで日差しをカット」「室外機のまわりに物を置かない」「フィルターを清掃」などを勧めている。すだれなどで窓を日陰にして日光が差し込むことを防げば、室内の温度が上がりにくくなり、冷房に必要なエネルギーを減らせる。
 「ドア・窓の開閉は少なく」も省エネの方法として紹介されているが、新型コロナウイルスの感染症対策では換気が求められているため、注意が必要だ。日本救急医学会の会見では、室内に1人でいる場合などでは感染対策のこまめな換気は必要ないとし、複数の人たちが集まる場合には換気をするといったメリハリをつけた換気が呼び掛けられた。

◆無駄な照明は消して

 照明を減らすことも、取り組みやすい節電対策だ。29日で電力の需給逼迫の心配が強まる午後3~8時のうち、日没前は日差しがあり、照明を消してもある程度の明るさは維持しやすい。日没後も不要な照明は消せば節電になる。家族でできるだけ同じ部屋に集まって過ごせば、必要な冷房や照明を減らすこともできそうだ。
 エネ庁のサイトでは、電球形LEDランプに取り換えることも薦めている。

省エネ効果 54Wの白熱電球から9Wの電球形LEDランプに交換(年間2000時間使用)で、年間90.00kWhの節電(省エネポータルサイトより)

◆冷蔵庫や食器乾燥機では

 キッチンでできることは何か。エアコンに次いで電力消費が多い冷蔵庫は、詰め込みすぎに注意が必要だ。エネ庁のサイトによると、「無駄な開閉はしない」「開けている時間を短く」よりも、冷蔵庫に食材を詰め込んだ状態から半分に減らしたときの方が省エネ効果は大きかった。

省エネ効果 冷蔵庫に詰め込んだ場合と、半分にした場合の比較では、年間43.84kWhの節電(省エネポータルサイトより)

 エネ庁は「『とりあえず保存』は結局何も食べずに捨てられることが多いようです」「缶詰、びん詰や調味料は、未開封なら冷蔵庫に入れないで!」と冷蔵庫内の整理を呼び掛けている。熱いものはさましてから保存することも省エネになるとしている。
 食器洗い乾燥機も省エネに工夫ができる。エネ庁は、洗浄終了後に扉を開け、余熱だけで乾燥させることや、食器の点数が少ないときに「少量コース」を選ぶことなどを勧めている。

省エネ効果 食器洗い乾燥機を標準モードで1日2回使ったなどと仮定して年間525.20kWhの電気を使用。全て手洗いにすると年間8570円の節約(省エネポータルサイトより)

◆衣類乾燥機、テレビでも

 衣類乾燥機も使い方次第で、節電できる。エネ庁が薦めるのは、使用回数を減らしてまとめて乾燥することや、自然乾燥で乾ききらなかったものを乾かすのに使うことだ。

省エネ効果 乾燥機のみで乾かす場合と、自然乾燥8時間後に補助的に使う場合との比較では、年間394.57kWhの節電(省エネポータルサイトより)

 また、テレビはつけっぱなしにせずに不要なときには消すことや、見ないときは主電源を切ること、見る場合でも明るさの設定などを変えることで省エネできる。エネ庁は、テレビ画面は静電気でホコリを寄せ付けやすいとして、1週間に1度は清掃し、画面を明るくしすぎないように求めている。使わない家電のコンセントを抜いて、待機電力を減らすことも節電になる。

省エネ効果 液晶テレビ(32V型)の画面の輝度を「最大」から「中間」にした場合、年間27.10kWhの節電(省エネポータルサイトより)

 できるだけ家電の使用を減らした上で、使う必要がある場合でも電力需給の厳しい時間帯を避けると効果がある。使用を避けるタイミングは、政府などが節電を呼び掛ける時間帯が基本だが、より細かく知りたい場合は、東京電力でんき予報など、電力各社が需給の状況を随時更新しているウェブページが参考になる。

◆それでも家庭だけでは限定的

 ただ、家庭だけの努力では節電の効果は限定的だ。エネルギー白書によると、電力の最終消費は「産業」部門と「業務他」部門で計約7割を占めている。
 3月22日に電力需給が逼迫し、「警報」が出た際には、電力を大量に使う製鉄会社が工場の稼働を停止するなどし、停電を回避した。自前で発電設備を持つ製造業者は、発電量を増やしもした。東京メトロが通路の照明を一部消したり、家電量販店がテレビの電源を一部、落とすなどの対応もあった。今後も電力が足りなくなりそうな場合は、消費量が多い企業などの対応が鍵を握る。

◆猛暑、温暖化で増える恐れ

 今後、地球温暖化が進めば、冷房の需要が大きく高まる猛暑が増える恐れがある。気象庁気象研究所などは2019年5月、前年18年7月の記録的な猛暑について、地球温暖化がなければ発生確率がほぼ0%と推定されたとする研究結果を発表。産業革命以降の世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えた場合でも、猛暑日の観測地点は現在の1.4倍、上昇が2.0度になった場合は1.8倍になると予測した。

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