ゴミ拾い侍、見参 池袋の路上を楽しく格好良く SNSで世界に発信 ロス支部も

2022年6月28日 07時08分

池袋に見参した「ゴミ拾い侍」の後藤さん(右)と惠助さん=いずれも豊島区で

 空き缶、ペットボトル、たばこの吸い殻−。街にあふれるゴミを拾うパフォーマンス集団「ゴミ拾い侍」が豊島区の繁華街・池袋に「見参」した。刀ならぬ火ばさみを腰に差し、粋な着物姿で、週2回区内を中心に活動する。決めぜりふは「モラルの無い心を成敗!!」。
 飲食店やカラオケ店などがひしめく池袋駅西口の繁華街。梅雨空の下、デニム地の着物に帽子、ブーツ姿の「ゴミ拾い侍」がさっそうと現れた。竹かごを背負っているのが後藤一機さん(55)。二刀流が惠助(けいすけ)さん(31)だ。
 鋭い目線で辺りを見回す二人。路上にたばこの吸い殻が散らばっているのを見つけ、素早く駆け寄った。滑らかな刀さばきならぬ「火ばさみ」さばきでゴミを拾い竹かごに投入。伏し目がちに低い声で「成敗!」。まるで時代劇の一場面を見ているようだ。通行人が立ち止まり、スマホで写真を撮っていく。

空き缶

 さらに奥まった路地に進むと、地面にへばりつくマスク、舗装の隙間に入ったつまようじ…、拾っても拾っても「敵」は現れる。自販機横には、ごみ箱からあふれたペットボトル。中身が入ったままの物も。侍は、長さ七十五センチの火ばさみを駆使し、キレの良い動きで「成敗」し、ポーズを決める。
 「普通に拾った方が早くね?と言われる」と後藤さん。「それでも、楽しく格好良くゴミ拾いしている姿を見てもらうことで、一人一人に環境を意識してもらいたい」と、エンターテインメントとしてのゴミ拾いパフォーマンスを続ける。

吸い殻

 「ゴミ拾い侍」創始者の後藤さんは、俳優で北野武監督の映画に出演したことも。「若い人が文化を作る。原宿のホコ天のようなストリート文化を絶やしたくない」と考えていたとき、訪れた北海道で吹雪の中ゴミ拾いをする人の姿が侍に見えて「これだ!」。二〇〇七年、ゴミ拾いに殺陣の要素を取り入れたエンタメ「ゴミ拾い侍」が誕生した。
 当初は渋谷を中心に活動していたが、コロナ禍で街から人が減少。豊島区民の二人は「まずは自分たちの住む街をきれいにしよう」と「主戦場」を区内に移した。
 活動の様子は毎回SNSで配信し、多い日には世界で六千人以上が視聴。海外のファンが多く、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」のフォロワーは六十七万人に上る。

成敗!

 SNSなどを通じて輪は国内から世界に広がり、国内各地に「支部」や「ゴミ拾い乙女」が誕生。米ロサンゼルスではハリウッド俳優の「侍」も活動している。
 格好いいパフォーマンスのために普段から技も磨いている。「振り回しているようですが、周りをよく見て、格好良く見えるよう訓練しています」と惠助さん。

◆豊島区に「仕官」

豊島区の高野之夫区長(右から3人目)から「としま“まちキレイ”推進大使」に任命されたゴミ拾い侍=同区提供

 活動は環境省に認められ、今年三月には、豊島区の「としま“まちキレイ”推進大使」も「任官」した。区では「区制九十周年の今年、街の環境美化活動を一緒に盛り上げてもらいたい」と期待する。
 現在週二回、池袋と大塚周辺で活動する。後藤さんは「全人類をゴミ拾い侍にしたい」という野望を持つ。「一日に一個、一年に一個拾ってもいい。捨てていた人が捨てなくなっただけでもいい。自分たちのパフォーマンスを見て意識が変わり、ゴミが減れば地球がキレイになる」と願う。
文・長竹祐子/写真・坂本亜由理
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