参院選神奈川 横須賀基地「ハブ化」に危機感 主要候補アンケート

2022年6月28日 07時30分

米海軍横須賀基地に寄港した原子力空母エーブラハム・リンカーン(手前中央)=横須賀市で、本社ヘリ「あさづる」から

 参院選神奈川選挙区(改選数4、欠員補充1)では7月10日の投開票に向け、22人の立候補者が論戦を展開している。日米軍事一体化や選択的夫婦別姓、新型コロナウイルス対策など、国政や県内の政策課題の現場リポートと、主要15候補に実施したアンケートの結果を紹介する。
 米海軍の原子力空母が入れ代わり立ち代わり立ち寄るようになるのでは−。米海軍の空母が横須賀基地(横須賀市)を母港として、間もなく半世紀。日米の軍事一体化が進む中、基地の「ハブ化」によって、地元の負担がさらに増すのではないかとの危機感が高まっている。
 この一年、横須賀基地を巡る動きはめまぐるしかった。昨年八月二十八日、米原子力空母「カール・ビンソン」が寄港。横須賀を母港としない原子力空母の寄港は二〇〇九年八月の「ニミッツ」以来、十二年ぶりだった。ビンソン出港後の九月四日には英空母「クイーン・エリザベス」が入港した。
 それから一年もたたない今年五月二十一日、米原子力空母「エーブラハム・リンカーン」が寄港。前日に出港した、横須賀を母港とする米原子力空母「ロナルド・レーガン」と入れ替わるように六日間滞在した。
 リンカーンは寄港に先立ち、二月に沖縄周辺、四月に東シナ海や日本海で、海上自衛隊の護衛艦などと共同訓練を実施。訓練は中国による海洋進出などを背景に、日米同盟による抑止力を強めるのが狙いで、林芳正外相がリンカーンを視察するなど同盟強化をアピールする場面もあった。
 市民グループ「非核市民宣言運動・ヨコスカ」のメンバー、新倉裕史さん(74)は、日本周辺での日米や多国籍共同訓練が増え「横須賀がレーガンだけでなく、複数の空母の運用に不可欠な港になっている」と危機感を抱く。原子力空母の滞在は放射能事故のリスクを高めるほか、横須賀基地を出た米空母が他国をミサイル攻撃すれば、「自分たちの街が『先制攻撃の街』になる。いたたまれない」。
 今年初めに沖縄で米軍基地での新型コロナウイルスのクラスターが地域に拡大したとみられることや、リンカーン寄港中の五月二十二日に横浜市で酒に酔った米海軍人男性による暴行事件=不起訴処分=が起きたことなどを不安視する声もある。
 横須賀基地を見下ろす高台に週に数回足を運び、監視を続ける横浜市磯子区の木元茂夫さん(67)は「なぜこんなに立て続けに来るのか。これで終わりではなく、次があるのでは」と懸念を示す。「日米の軍事一体化は、日本独自の外交を放棄するということ。いざというとき、衝突を回避できるのか」。新倉さんは「基地を身近に感じる横須賀市民だけの問題ではない。基地のない街の人にもわが事として考えてほしい」と呼び掛ける。(石原真樹)

<アンケート>日米安保

 軍事面での日米の連携強化や自衛隊の役割拡大についての賛否をお答えください。

■賛成

 自民現職の三原じゅん子さん(57)は「厳しさを増す外交・安全保障環境の中、日米同盟を一層強化し、普遍的価値を共有する同志国等と連携し、毅然(きぜん)とした外交の展開と国防力の強化を進めていく」とした。
 自民元職の浅尾慶一郎さん(58)は「ロシアのウクライナ侵略をみても分かる通り、一定の抑止力として防衛力の強化は必要だ。それにともない自衛隊の役割拡大に関する議論は必要」と答えた。
 公明現職の三浦信祐さん(47)は「専守防衛と日米同盟の強固な協力体制を基軸とした抑止力が重要。国民の生命と財産を守るため予算額ありきではなく、我が国に必要な防衛力整備、体制の議論が必要」とした。
 維新元職の松沢成文さん(64)は「日米の同盟関係を強化しつつ、わが国の防衛費をGDP比2%まで増額し、国民の生命と財産を真に守るために『積極防衛能力』の整備を図る」と回答した。
 国民新人の深作ヘススさん(37)は「国民と国土を守る態勢の強化は必要。友好国との協力を不断に検証し、戦争を始めさせない抑止力強化と、攻撃を受けた場合の自衛のための打撃力を整備すべきだ」とした。
 いずれもNHK党新人の重黒木優平さん(35)は「自国は自国で守るように、防衛力の強化・敵基地攻撃能力等の保有は必要。GDP比2%に引き上げも必要」、橋本博幸さん(39)は「防衛は大事」と回答。小野塚清仁さん(49)は「しっかり連携する必要がある」、飯田富和子さん(53)は「米国が前面に立って戦ってくれない可能性が出てきた以上、ゼロベースで議論するべきだ」とした。
 諸派(幸福実現党)新人の壱岐愛子さん(36)は「主権国家として、国力相応の防衛力強化が喫緊の課題」とした。

■反対

 立民新人の寺崎雄介さん(50)は「数字ありきの防衛費の議論は危険かつ意味がない。平和主義と専守防衛、非核三原則を順守し、日米同盟を基軸とした現実的な外交・安全保障政策を推進する」と回答した。
 立民新人の水野素子さん(52)は「対話外交の強化を図るべきだ。日米の信頼関係の維持・発展と、専守防衛の実践こそ我が国の平和を具現化するもの。軍事面における役割拡大は際限のない軍拡競争につながる」とした。
 共産新人の浅賀由香さん(42)は「憲法違反の集団的自衛権容認の安全保障法制のもとで自衛隊と日米共同訓練の強化は、国際緊張を高め米軍とともに戦争する危険な国づくりへの道」と回答した。
 社民新人の内海洋一さん(63)は「日米の軍事一体化は東アジアに緊張をもたらすだけでなく、日本も戦争に巻き込まれる危険をもたらすもので断固反対」と答えた。
 諸派(共和党)新人の首藤信彦さん(77)は「自衛隊は海外派兵や米軍との本格的な共同戦略行動に適さない」とした。

◇選挙区立候補者(届け出順)(改選4+1…22)

寺崎雄介 50 立新
重黒木優平 35 N新
浅賀由香 42 共新
水野素子 52 立新
橋本博幸 39 N新
三浦信祐 47 公現<1> 自
内海洋一 63 社新
三原じゅん子 57 自現<2>
グリスタン・エズズ 37 諸新
萩山あゆみ 44 諸新
浅尾慶一郎 58 自元<2>
小野塚清仁 49 N新
松沢成文 64 維元<2>
深作ヘスス 37 国新
久保田京 45 諸新
藤沢あゆみ 55 無新
壱岐愛子 36 諸新
飯田富和子 53 N新
首藤信彦 77 諸新
針谷大輔 57 諸新
藤村晃子 49 諸新
秋田恵 40 無新
 党派の略称は、自=自民、立=立民、公=公明、維=維新、共=共産、国=国民、社=社民、N=N党、諸=諸派、無=無所属(候補者の年齢は投票日基準)
※+1は合併選挙で非改選の欠員1を補充

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