<サブカルWorld>(18)ウルトラマン 強く優しく、シリアスでコミカル

2022年6月28日 07時26分

「シン・ウルトラマン」の一幕 ©2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ

 日本を代表する特撮ヒーローで、7月にテレビシリーズの新作が始まるなど根強い人気を誇る「ウルトラマン」。1966年放送開始の「初代」の設定を現代に置き換えたリブート映画『シン・ウルトラマン』は世代を超えて大きな反響を呼んでいる。ウルトラファンだった記者も鑑賞し、あらためて魅力に迫った。 (清水祐樹)
 四十代半ばの記者は、ちょうど子ども時代にテレビでウルトラマンシリーズが放送されていなかった谷間世代。しかし、雑誌などでの露出は多かったためか、なぜか大好きになり、幼少時はソフビ人形をたくさん持っていた。その後、再放送やビデオで初代やセブンなどを視聴し、完成度の高さに感心したものだ。
 具体的には何に惹(ひ)かれていたのだろう? おさらいしようと、『シン−』の企画・脚本を務める庵野秀明さんが四エピソードを厳選した初代の4K特別上映をまずは見ることに。にせウルトラマンに変身するザラブ星人、人間を標本として採集しようとする三面怪人ダダ、恐竜のような風貌の古代怪獣ゴモラらが登場し、それぞれに楽しめた。

映画公開に合わせ「シン・ウルトラマン商店街」となったウルトラマン商店街=東京都世田谷区で

 久しぶりにじっくりと作品と向き合って感じた魅力は▽洗練されたウルトラマンのデザイン▽迫力ある怪獣との格闘シーン▽不気味な宇宙人との駆け引き▽カラータイマーの点滅やスペシウム光線などのお約束▽守られてばかりでなく、自ら地球を守ろうと奮闘する科学特捜隊(科特隊)▽社会情勢を踏まえたシリアスで時にコミカルな人間ドラマ−などなど。
 これらがどう反映されているのか。興味津々でいざ、『シン−』の鑑賞へ。舞台は、次々と巨大不明生物「禍威獣(かいじゅう)」が現れる現代日本。政府が設立した禍威獣特設対策室専従班(禍特対)も苦戦する中、大気圏外から突然、銀色の巨人が登場する。本作の特徴の一つは、初代ウルトラマンをデザインした故成田亨(とおる)さんが本来目指した姿の再現だ。最大の違いはカラータイマーがないこと。違和感があるかと思ったが、格好いいし、美しい。長澤まさみさん演じる禍特対メンバーが思わずつぶやいた「きれい…」との言葉には素直に共感できた。
 禍特対の神永新二(斎藤工さん)がベーターカプセルという道具を使ってウルトラマンに変身するのは初代に準じているが、そのシステムに細かい設定が加わり、物語に厚みを持たせているのは面白い。
 怪獣との格闘やスペシウム光線などは最新CGで迫力満点。政府も巻き込んだ宇宙人とのやりとりも見物だ。外見は人間の外星人メフィラス(山本耕史さん)が実にいい味を出している。「善は急げ」「呉越同舟」などのことわざの後に「私の好きな言葉です」と加える独特の言い回しはメフィラス構文として話題になっており、確かに耳に残る。ユーモアも受け継がれているようで安心した。

ウルトラマン商店街にかかるゾフィーアーチ

 初代の最終回でウルトラマンを倒した怪獣ゼットンと、ウルトラ兄弟のゾフィー(『シン−』ではゾーフィ)も設定を変えて終盤に登場。その関係性は、ウルトラファンなら思わずニヤリとさせられること請け合いだ。
 やや消化不良に感じたのは、ウルトラマンと地球人の関わり。出会ってからの短い時間の割に、あまりに地球人を信用しすぎて優しすぎる気がする。禍特対の活躍も含め、もう少し人間ドラマが描かれても良かったように思う。
 鑑賞後、かつて円谷プロダクションの本社があり、ウルトラマン商店街で知られる東京都世田谷区の小田急線祖師ケ谷大蔵駅周辺でファンの声を聞いた。映画はこれから見るという地元の小学三年稲垣佐紀ちゃん(9つ)は「ウルトラマンは怪獣を倒すだけじゃなく、以前いた星に帰してあげたりして優しいんだよ」と人形を手に笑顔。横浜市都筑区の会社員三本正浩さん(48)は初代をブルーレイで全話見てから劇場に行ったといい、「小ネタが満載で面白かった。次はシン・セブンを」と早くも次作を望んだ。
 老若男女問わず、皆に愛されているヒーローなんだと実感した。

◆ウルトラマンシリーズ

ベーターカプセルを手に変身する神永新二 ©2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ

 円谷プロダクションが制作する特撮ドラマ・アニメ作品。主に人間が巨大ヒーローに変身し、地球を襲う怪獣や宇宙人と戦う姿を描く。第1作の『ウルトラマン』のテレビ放送が1966年に始まって以降、断続的にテレビや映画などで新作が作られている。今年5月に公開された映画『シン・ウルトラマン』は、ウルトラファンを公言している庵野秀明さんが企画・脚本、樋口真嗣さんが監督を務める。2人のタッグでヒットした『シン・ゴジラ』に続く「シン」シリーズの第2弾としても注目を集め、興行収入は40億円を超えた。
*「サブカル」とは、漫画、アニメ、ゲームに代表される「サブカルチャー」の略語。この欄は、沼のように奥深いサブカルの魅力をお届けします。毎月第4火曜日掲載。

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