<ぱらぱらじっくり 教育に新聞を>紙面でコラージュ日記 切り抜いて、つながる思い

2022年6月28日 07時26分

切り抜き体験をする来場者(左)と渡辺さん=東京都台東区の書店で

 東京新聞の愛読者で東京都台東区の手工芸作家渡辺真砂(まさ)さん(81)が、東京新聞コラージュ日記展を区内の書店で開いた。一年間、毎日つくった作品を並べたほか、渡辺さんの発案で、来場者もコラージュ日記制作を体験できるようにした。
 新聞から記事や写真を切り抜いて別の紙に貼る。コラージュ日記は、東京新聞が小中高生向けに開催する「新聞切り抜き作品コンクール」に寄せられる作品に、よく似ている。大人が切り抜き作品づくりをすると、どんな気づきを得るのだろう。会場の体験コーナーを観察してみた。
 初日の六月四日。オープン早々に挑戦していたのは新宿区の男性(66)。二枚の画用紙をつなげて作品をつくると、感想をこう話した。「切り抜いて貼ることで、その記事をよりよく読むというか、記事に親しみを感じますね」
 切り抜かなければ確かに、記事とは一瞬すれ違うだけ。後は古新聞になっていく。
 「しっかり読んでから切り抜かないと…」と慎重に記事を選んでいたのは千葉県から来た女性。「あっ、平和の俳句を募集してるんだ」「(朝のドラマの)ちむどんどんは無理な展開が多いわよねえ」「だんだん旅行の広告が増えてきましたね」などとページをめくりながらつぶやいた。
 最終日の十二日。渡辺さんの知人という五十代の女性がとりわけ丁寧に記事を選ぶ。「いっぱい切っちゃってもいいんですか。切り抜いたことがないからドキドキします」と話しながら、芥川龍之介の恋文について触れた記事、ウクライナから日本に避難してきた女子高生が夢を語る記事、野口聡一宇宙飛行士が「宇宙は基本的には死の世界。生きていることは奇跡だと感じた」と話した記事などを選んだ。サンデー版からも桐(きり)の花の絵を切り抜いた。
 画用紙のサイズにおさまりきらず苦労したが、一時間以上かけて完成させた。
 感想を尋ねると女性は、故郷での桐の花の香りと母親の記憶の思い出話を懐かしげに明かした上で、こう話した。
 「コラージュ作品にするには、その一枚に自分の思いがないといけないなと。そう思って新聞を読んでみたら、家族の話があったり、ウクライナから来たお嬢さんの願いがあったり、それが野口さんの『命を続けることの大変さ』という言葉にまでつながったように感じた。新聞って、いろんな人が読むためにいろんな記事が書かれているんだなと、あらためて分かりました。だからつながる記事を見つけられた。こんなことしてみたことがなかったけど、楽しかったです」 (東松充憲)

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