参院選千葉 1票の現場から 通学バス導入 予算の壁 八街児童死傷事故1年「現状見て補助を」

2022年6月28日 07時34分

通学バスの乗り込む白井第二小の児童ら=白井市で

 千葉県八街市で昨年六月、下校中の児童五人が死傷したトラック事故から、きょうで一年。事故を受け、県内の一部自治体は通学路の安全確保のため、新たに通学バスを導入した。保護者からは歓迎の声が上がる一方、予算の確保などが壁となり、導入に踏み切れない自治体も多い。自治体担当者は「国は現場の状況を見て、財政面の補助制度を整えてほしい」と訴える。
 六月上旬の午前七時ごろ、白井市内の民間バス停留所。市立白井第二小学校の通学バスが停車し、児童らが次々と乗り込んでいった。八街市の事故を受け、市内の九小学校のうち同校を含む二校で、本年度から試験的に通学バスを運行。同校の小学五年の女子児童(10)は「通学路の道が細くてひかれそうで怖かったけど、今は安心」と笑顔を見せた。
 工業団地が近くにある同校の通学路はトラックが多く通り、一部で路側帯が狭いことなどから危険とされていた。子どもが通うパート女性(48)は「道路を広げてほしいと市や学校に要望を出していた」と明かす。
 現在、全校児童八十八人のうち七割に当たる六十三人が通学バスを利用。三ルートに分かれ、各ルートに二便ずつ、片道約二十分で走行する。運行は民間のバス会社に委託している。
 二校の通学バス運行にかかる年間費用は約三千三百万円。全額を市単独予算でまかなう。担当者は「他の小学校でも導入したいが、予算の都合上難しい」とこぼした。
 県内では、事故前の昨年六月時点で五十四市町村のうち三十二市町で通学バスを導入。事故を受け新たに白井、八街の二市が加わった。残りの自治体は「委託先のバス会社を探すのが大変」(千葉市)「予算の確保や、明確な基準がない中で運行する学校を決めるのが難しい」(鎌ケ谷市)などとして導入に踏み切れていない。
 菅義偉前首相は事故後の七月、登下校時の通学バスの利用を全国的に促す考えを示した。自民党の有志の国会議員による公立小学校に通学バス導入を目指す連盟も立ち上がった。
 一方、国は、通学バス利用の拡大に向けた具体的な方向性を示していない。国の制度では、補助金の支給は学校の統廃合などにより四キロ以上離れた場所に住む子どもがいる場合に限定されている。文部科学省の担当者は「要件緩和の予定はない」と話している。
 県内のある自治体の担当者はこう訴える。「通学バス運行は、市町村単位で取り組むのには限界がある。国には、現状に即した対策を打ってほしい」(鈴木みのり)
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 私たちの生活に潜むあらゆる問題が、政治的問題と言える。日々、県内を駆け回る記者たちが、各現場からすくい取った千葉の課題を伝える。(この企画は随時掲載します)

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