ロシアは「最も重大な脅威」、中国も課題化 NATOが12年ぶりに行動指針を改定

2022年6月28日 20時57分
NATOのストルテンベルグ事務総長㊨。左はスペインのサンチェス首相=28日、スペイン・マドリードで(AP)

NATOのストルテンベルグ事務総長㊨。左はスペインのサンチェス首相=28日、スペイン・マドリードで(AP)

 【マドリード=加藤美喜】北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が29、30日、スペインのマドリードで開かれる。ロシアのウクライナ侵攻で欧州の安全保障環境が激変する中、NATOの行動指針「戦略概念」を12年ぶりに改定する。ロシアを「最も重大かつ直接の脅威」と位置付けるほか、「中国がもたらす課題」に初めて言及する見通し。日本を含むアジア・太平洋地域のパートナー国の首脳を招き、民主主義国家の結束を図る。
 長年の軍事非同盟路線を転換した北欧フィンランドとスウェーデンの加盟承認に加えて、ウクライナの長期的・包括的な支援策、NATOの東方防衛強化、加盟国の防衛費増額も焦点となる。
 北欧2カ国の加盟を巡っては、トルコが難色を示し、早期承認に黄信号がともっている。ストルテンベルグ事務総長は首脳会議に先立つ28日、トルコのエルドアン大統領とフィンランドのニーニスト大統領、スウェーデンのアンデション首相を招いた4者協議をマドリードで開催し、事態打開に向けて妥協点を探る。
 バイデン米大統領も説得に当たる考えで、ロイター通信によると、サリバン米大統領補佐官は28日、バイデン氏とエルドアン氏が29日に会談すると語った。
 ストルテンベルグ氏は27日、東方防衛の強化案として、緊急時の即応部隊を現在の4万人から30万人以上に増員すると発表。さらに現在ポーランドやバルト3国、ルーマニアなど欧州東部の8カ国に展開している多国籍部隊を旅団級に格上げする。これらの組織改編は「冷戦以降で、NATOの集団防衛と抑止力の最大の見直しとなる」と述べた。首脳会議での決定を目指す。
 ロシアのウクライナ侵攻は4カ月を超え、即時停戦の兆しは見えない。ウクライナの包括支援策では、短期的な援助として対ドローン装備や安全な通信手段、燃料などを提供。さらには戦争長期化も見据え、同国軍の装備を旧ソ連時代のものからNATOの基準に合わせて近代化し、相互運用性を高める。
 一方、ロイター通信によると、マドリード中心部では26日、NATO首脳会議に反対するデモがあり、数千人が参加。参加者の1人は同通信に「NATOの解決策はさらなる武器とさらなる戦闘で、そのツケはいつも国民が払わされる」と述べ、軍事費の増額と戦闘の長期化に抗議した。

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