<集いの杜>幻の梅雨恋し

2022年6月29日 07時07分

梅雨入りした6月6日の神宮外苑。水たまりにいちょう並木の緑が映り込んでいた=港区で

 梅雨入りが発表された六月六日、明治神宮外苑のいちょう並木を歩いた。
 並木の下は昼間でも薄暗かった。生い茂る若葉が緑のトンネルをつくり、そぼ降る雨もまた、遮った。傘を差さずに歩く人もいた。
 それから二十日余り。例年の半分ほどの期間で、観測史上最も早く梅雨の終わりが発表された。
 アスファルトを溶かすような猛烈な日差しが、トンネルの陰の下では気にならない。犬と散歩する人、テニス帰りに休憩する人、腕を組んだままベンチで眠りこけるサラリーマンも。ある気候学者が、樹木のことを「天然のクーラー」と表現していたのを思い出した。
 この日、都心の最高気温は三五度を超え、六月で初めて三日連続の猛暑日になった。夕方になっても日差しは衰えない。
 緑陰のベンチでジュースを飲む親子に声を掛けた。「海に行きたいし、かき氷も食べたい」と夏を語る女の子に頷(うなず)きながら、お父さんは「幻の梅雨でしたね」とちょっと残念そうだった。 
    
文・森本智之、内山田正夫/写真・内山田正夫
 ◇  ◇
※100年近い歴史を誇る明治神宮外苑。再開発の波にさらされる杜の今を、写真で記録します。随時掲載。
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