参院選神奈川 同じ名字、押しつけないで 主要候補アンケート

2022年6月29日 07時13分

パートナーシップ宣誓制度受領証を手にする小林さん(右)と藤原さん=鎌倉市で

 参院選神奈川選挙区(改選数4、欠員補充1)では7月10日の投開票に向け、22人の立候補者が論戦を展開している。日米軍事一体化や選択的夫婦別姓、新型コロナウイルス対策など、国政や県内の政策課題の現場リポートと、主要15候補に実施したアンケートの結果を紹介する。
 「名字が違うから家族の一体感が損なわれるなんて勝手に決めないでほしい」
 鎌倉市の小林ななみさん(29)と藤原皓平さん(38)は昨年八月、市のパートナーシップ宣誓制度を使って「支え合い、一緒に生きる」と誓い合った。婚姻届を出さなかった大きな理由が「夫婦同姓」だった。
 小林さんは字画が良く、親が考えに考えて付けてくれた大好きな「小林ななみ」を変えたくなかった。姓を変えることで、社会の価値観を押しつけられる気もした。「私は『奥さん』にはならない。『前さん』だから!」。今月に市内で起業し、今後のキャリア計画を考えても改姓は考えられなかった。
 藤原さんは「小林になってもいい」と思ったが、親が反対した。小林さんの親も「藤原家との関係が悪くなるのでは」と心配した。二人は「お互いに『個人』と『個人』として付き合ってきた。でも、大事な家族を悲しませたくない」と悩み、出した答えがパートナーシップだった。
 選択的夫婦別姓に反対する議員らは「別姓は家族のきずなが薄くなる」などと批判するが、「改姓でアイデンティティーが壊されるほうが、よほど家族の関係が悪くなる」と藤原さん。小林さんは「国は、伝統的な家族から外れるカップルが増えると出生率が下がると心配しているのかもしれない。でも保育や教育のコストが下がれば、別姓が進んでも子どもは生まれると思う」と話す。
 市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」のメンバーで、川崎市のフリーランス女性(40)も「当事者と関係のないところで決めないでほしい」と訴える。旧姓で働き、旧姓と戸籍姓が異なるために海外の顧客とのやりとりで何度も説明を求められるなど「なくてもいい壁」にぶつかったという。横浜市の団体職員女性(41)も「子どものころから使ってきた名字は、自分を自分たらしめる大切なもの」と実感を込める。
 同団体は、改姓がネックで事実婚にしたために養子縁組ができなかったり、不妊治療が受けづらかったりするなど切実な悩みを地方議員に訴えてきた。「お墓の問題はどうするの」などと年配の支持者をおもんぱかる言葉が返ってくると「別姓は同じ墓に入れないとする法律はない。選択的別姓でお墓には困らない」など説明を繰り返してきた。
 話に耳を傾けてくれる議員もおり、横浜市議会は二〇一九年、県議会は二〇年、国に議論するよう求める意見書を提出した。ハードルはその先、国だ。県内ではほかに鎌倉、逗子、大和、座間の各市議会も過去十年以内に同様の意見書を国に出した。(石原真樹)

<アンケート>夫婦別姓

 選択的夫婦別姓を法制化するために、民法改正に賛成ですか、反対ですか。

■賛成

 自民元職の浅尾慶一郎さん(58)は「議論が深まっていないなど課題はあるが、幸福追求権はなるべく法律による制約をするべきではない」と回答した。
 参院選神奈川選挙区(改選数4、欠員補充1)では7月10日の投開票に向け、22人の立候補者が論戦を展開している。日米軍事一体化や選択的夫婦別姓、新型コロナウイルス対策など、国政や県内の政策課題の現場リポートと、主要15候補に実施したアンケートの結果を紹介する。
 立民新人の寺崎雄介さん(50)は「男女共同参画は時代の要請である。よって選択的夫婦別姓は合理的だ」とした。
 立民新人の水野素子さん(52)は「旧姓で積み上げた経歴が本人とつながらなくなる問題や、婚姻によりどちらかの家名を存続することができないなどの問題解決を可能にするため」と答えた。
 公明現職の三浦信祐さん(47)は「多様な生き方ができる社会をつくることが本当の意味で豊かな社会」として「選択的にするべきであり、形だけの平等を乗り越えることが大事」とした。
 維新元職の松沢成文さん(64)は「戸籍制度及び同一戸籍・同一氏の原則を維持」としつつ「旧姓使用にも一般的な法的効力を与えるなど、結婚後も旧姓を用いて社会経済活動が行える仕組みを構築」とした。
 共産新人の浅賀由香さん(42)は「法律で夫婦同姓を義務付けているのは日本だけ。婚姻で改姓しているのは96%が女性。氏名は個人の人格権の一部。選択権を広げるのは政治の責務」と回答した。
 国民新人の深作ヘススさん(37)は「個人の尊重と男女の対等な関係の構築などの観点から、選択的夫婦別氏制を導入する必要がある。多様な家族のあり方を受け入れる社会を目指す」とした。
 社民新人の内海洋一さん(63)は「長年使っていた姓を結婚により、どちらか一方が変更を強制されることは人格権の侵害」とした。
 いずれもNHK党新人の重黒木優平さん(35)は「どちらかと言えば賛成。個人の自由にしたら良い」、橋本博幸さん(39)は「時代遅れ」と答えた。小野塚清仁さん(49)は「選択することで失敗する人が多ければ自然に別姓にする人も少なくなっていく」、飯田富和子さん(53)は「女性だけがハンディを負う結果にもなっている。同性同士の問題も含め、パートナー制度だけあれば良い」と回答した。
 諸派(共和党)新人の首藤信彦さん(77)は「夫婦同姓は十九世紀の西欧社会をまねしたもの」と回答した。

■反対

 諸派(幸福実現党)新人の壱岐愛子さん(36)は「家族の結束を弱め、離婚率を上げかねない」と回答した。

■賛否回答なし

 自民現職の三原じゅん子さん(57)は「マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、各種国家資格の免許等で旧姓の併記を実施している」として「氏を改めることによる不利益をさらに解消したい」と答えた。

◇選挙区立候補者(届け出順)(改選4+1…22)

寺崎雄介 50 立新
重黒木優平 35 N新
浅賀由香 42 共新
水野素子 52 立新
橋本博幸 39 N新
三浦信祐 47 公現<1> 自
内海洋一 63 社新
三原じゅん子 57 自現<2>
グリスタン・エズズ 37 諸新
萩山あゆみ 44 諸新
浅尾慶一郎 58 自元<2>
小野塚清仁 49 N新
松沢成文 64 維元<2>
深作ヘスス 37 国新
久保田京 45 諸新
藤沢あゆみ 55 無新
壱岐愛子 36 諸新
飯田富和子 53 N新
首藤信彦 77 諸新
針谷大輔 57 諸新
藤村晃子 49 諸新
秋田恵 40 無新
 党派の略称は、自=自民、立=立民、公=公明、維=維新、共=共産、国=国民、社=社民、N=N党、諸=諸派、無=無所属(候補者の年齢は投票日基準)
 ※+1は合併選挙で非改選の欠員1を補充

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