<社説>教員免許 自らの学び促す制度に

2022年6月29日 07時56分
 教員免許更新制が七月から廃止される。二〇〇七年、第一次安倍政権の教育再生会議が不適格教員の排除などを目的に提言し、〇九年から導入されたが、当初から妥当性が問題視された上に、教員のなり手不足を招く一因ともされた。廃止は妥当だろう。
 教員免許更新制は教員免許に十年の有効期限を設けるもの。期限が切れる前に大学などで三十時間以上の講習=写真、一四年、浜松市=を受けることを義務づけ、受講しないと免許は失効する。
 知識や技能の習得に一定効果があったと評価もある一方、費用は自己負担で、教員の多忙さに拍車をかけると指摘されてきた。また、社会の変化が激しいにもかかわらず、十年に一度の講習で最新知識や技能が身に付くのかと、制度自体に根本的な疑問もあった。
 更新制廃止の背景には深刻な教員不足もある。教職を選ぶ若者が減り、教員免許を取得しても、別の仕事に就く人が少なくない。
 免許更新制は先の通常国会で法改正によって廃止され、七月から有効期限がない免許状になる。更新しないまま失効した免許保有者が教職に就く契機にはなろう。
 ただ更新制に代わり、文部科学省は二三年度から教員ごとの研修記録作成を義務付け、校長は教員に助言し、教員が自ら研修する新たな制度を始める。
 自民党は新たな研修制度の徹底だけでなく、従わない教員を分限免職にすることまで提言した。
 教員が自ら学び続ける存在であるのは自明である。しかし、一人ひとりが研さんを積むことと、教員の評価とは別問題のはずだ。
 にもかかわらず、更新制の十分な総括や反省がないまま教員の身分と研修とを再び関連づけ、研修を強いるのはいかがなものか。文科省の中央教育審議会で、更新講習と免許の有効性を関連づけたことに無理があったとの意見が相次いだことを忘れてはならない。
 度重なる制度変更に振り回されるのは教員や教育現場だ。安定した制度の下で教員に自らの学びを促し、過剰な仕事量を軽減して教職の魅力を高めることが、教員志望者を増やすには欠かせない。

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