<社説>少子化対策 持続的な社会へ急務だ '22参院選

2022年6月29日 07時56分
 物価高にもかかわらず二〇二二年度の公的年金額は0・4%減額された。制度を支える現役世代の賃金も増えず、生活は苦しくなるばかりだ。なぜこのようなことが起きるのか。その背景には、少子化に伴う人口減少がある。
 日本は世界屈指の速さで高齢化が進む一方、二一年の出生数は八十一万一千人と団塊世代が生まれた一九四九年の約三割に落ち込んだ。この速さで人口が減少し続ければ、高齢化が一段と進む。
 人口が増え高齢者が少なかった時代を前提にしている経済や社会は、少子高齢化がさらに進めば、機能しなくなるのは当然だろう。
 年金、医療、介護などの社会保障に限っても、制度を支える財源の多くは現役世代や将来世代が担っている。現役世代の賃金が上がらなければ年金も上がらず、医療や介護の現場では働き手も増やさなければ制度を維持できない。
 社会全体を持続可能なものに変えるには将来世代を増やす少子化対策が急務なのだ。
 政府は約三十年間も少子化対策に取り組んできたが、人口減少に歯止めがかからず、成果が出ているとは言い難い。
 その責任は政府だけでなく、唯一の立法府であり、行政監視の役割を担う国会にもある。
 各政党は参院選公約で、教育費支援や児童手当などの給付拡充、子どもの貧困対策、仕事と子育ての両立支援などを掲げている。
 年金額を増やすためにも最低賃金の引き上げなど賃上げが急務だが、これまでの少子化対策の不備を検証し、改善策や必要な財源確保などについても、さらに議論を深めなければならない。
 その上で、与野党を超えて少子化克服への有効策を取りまとめ、その実行に力を尽くすべきだ。
 二三年四月に「こども家庭庁」が発足。子ども政策の司令塔として少子化や児童虐待、貧困など課題解決に当たるが、教育は引き続き文部科学省が担うなど縦割り行政は残り、実効性は不透明だ。
 この際、与野党が参加して「少子化対策国民会議」のような超党派組織をつくり、知恵を出し合ったらどうか。少子化はもはや政権与党だけでは背負いきれない深刻な問題であることを、私たち有権者も認識したい。

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