日本の街並みを再現した韓国のテーマパークが人気 映画やドラマの撮影セットを滞在型の観光施設に

2022年6月29日 12時00分

韓国・東豆川市で、日本の街並みが再現されたにじもりスタジオ。在韓米軍の訓練に使われた山あいの土地を活用して造られた

 日本家屋を再現した旅館や店舗が軒を連ねる異色の空間が、韓国ソウル北方の京畿道キョンギド東豆川トンドゥチョン市にある。映画やドラマの撮影セットとして造られた「にじもりスタジオ」。昨年9月に一般向けのテーマパークとして本格オープンし、新型コロナウイルス禍で日本旅行に行けなかった韓国人らの人気を呼んでいる。(東豆川で、木下大資、写真も)
 「日本の情緒が感じられて楽しい」。会場でレンタルした着物を着たソウルの20代のカップルは、コロナ前に旅行した日本の思い出を語らいながら記念撮影に興じていた。
 山あいの温泉街を思わせる3.3ヘクタールの敷地に、貸衣装や土産物店、食堂、茶室などが並ぶ。韓国では2階以上の木造建築は一般的でなく、日本人の目には細部の造りにやや違和感を覚えるが、扉や障子などは日本で調達して組み込んだという。施設は今も拡張中で、今後は天守閣のある城なども建設予定だ。
 日本の特定の地域をモデルにしたわけではなく、韓国人のスタッフが京都や北海道などの街並みを参考にデザインした「仮想の町」。時代劇を多く手掛けた金在衡キムジェヒョン監督(2011年没)がロケに必要な建物を1カ所に造ろうと発案し、当初から仮設でなく滞在型の観光施設を兼ねるように計画した。地域の活性化に貢献するとして、韓国政府の支援も受けている。

場内では「サムライの決闘」などの催しも開かれる

 5年前に着工し、コロナ禍のさなかにオープンしたが、多い日には数千人が来場する人気に。旅館は1泊5万〜8万円前後と高額だが、週末は満室になる。
 旅館の女将おかみは、韓国出身で日本人と結婚して日本に24年間住んだ林のぞみさん。岡山県のホテルで勤務経験があり、従業員には日本流の「察する」接客を指導している。「ここを訪れるのは日本が好きな方たち。私が経験した日本の暮らしや文化について話すと喜ばれます」と話す。

◆「スタジオジブリの世界のようだ」

 安倍晋三政権による半導体関連の対韓輸出規制に反発して日本製品の不買運動が起きてから、まもなく3年がたつ。厳しい対日感情も存在する韓国で、にじもりスタジオはどんな存在なのか。施設のマスターを務める金城模キムソンモさん(49)に聞いた。

マスターの金城模さん

 —施設に対する来場者の反応は。
 「日本みたいに品がある」「スタジオジブリの世界のようだ」といった声を聞く。私は映画・ドラマの制作担当で、施設の設計に携わったが、自分が表現しようとした日本の感性が伝わっているようでうれしい。韓国では自然や伝統がどんどん消えていく。その点、日本にはまだ「神秘性」が残っていると思う。模倣は創造の母。日本文化をまねて発展させ、にじもりスタジオ独自の文化をつくりたいと考えている。
 —日韓関係の低迷で悪影響はなかった?
 オープン前は「なぜ日本の村を造るのか」と攻撃された。両国の市民は互いの文化が好きなのに、政治的に利用するために問題視する勢力がいる。今では人気スポットになり、ファンが擁護してくれる。地元の経済や雇用に貢献しており、批判はなくなった。
 —以前のように日本旅行が再開したら、需要が減ってしまうのでは。
 もともとコロナ前から企画していた施設なので、心配していない。日本旅行によく行く人でも、その時は観光名所だけ見たり、ショッピングに忙しかったりして十分に見られなかった日本文化のディテールを、ここではゆっくり見て楽しめる。ここは韓国内にあるドイツ村やスイス村のような日本の村であり、ここだけの文化をつくってみようという趣旨だ。

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