停電時の熱中症対策どうすれば?応急処置はどうしたら? 医師が語った「蒸散冷却法」とは

2022年6月29日 17時21分
 記録的に早い梅雨明けと、直後の猛暑で熱中症のリスクが高まる中、冷房に必要な電力の余力が大きく減り、政府が節電を呼び掛ける「電力需給逼迫ひっぱく注意報」を出し続ける事態になっている。29日には福島県で停電が発生した。今後も、気温上昇や発電所のトラブルがあれば電力不足の恐れはある。厳しい暑さの中で停電し、エアコンが使えない場合には、どのように熱中症対策をして命を守ればいいのか。(デジタル編集部・福岡範行)
 厚生労働省のウェブページ「停電時における熱中症予防について」では、「のどの渇きを感じなくても、こまめに水分・塩分、経口補水液などを補給しましょう」と呼び掛け、「できるだけ風通しのよい日陰」で過ごすことや衣服の工夫も求めている。

厚生労働省の「停電時における熱中症予防について」の啓発チラシ

 日本救急医学会の神田潤医師は28日、熱中症への危機感を訴える緊急記者会見で、体をぬらし団扇うちわなどであおいで冷やす方法も提案した。「蒸散冷却法」と呼ばれる熱中症の治療で使われる手法だ。同会のガイドラインでは、「スプレーや霧吹きで、全身の体表面を微温湯で湿らせたうえで、扇風機や団扇でその水分を蒸発させることにより、体表から気化熱を奪って体外から冷却する方法」と説明されている。
 近所付き合いが良好なところなどでは、太陽光発電設備で自家発電しているなどして冷房が使える知人宅を頼る方法もある。2019年の台風15号で大規模な停電が長期化した千葉県では、台風後の猛暑で熱中症による死者が出た一方、太陽光発電によってエアコンが使えた住民が近所に声をかけ、涼みに来てもらった事例もあった。冷房の「お裾分け」を実践した同県袖ケ浦市の男性は当時、本紙の取材に「災害時に頼ってもらうには、普段の近所付き合いが大切。それぞれの地域で助け合いが広がってほしい」と語った。

◆呼び掛け応じなければ救急車を

 めまいや吐き気、筋肉痛などの熱中症とみられる症状が出た場合にどうすればいいのかは、環境省熱中症予防情報サイトの「熱中症の対処方法(応急処置)」で紹介されている。呼び掛けに応じなければ救急車を呼ぶ。呼び掛けに応答があれば、できるだけ涼しい場所で服をゆるめて体を冷やし、水分や塩分を補給する。水分を自力で飲めないときや、症状が改善しないときは医療機関の受診を勧めている。

環境省熱中症予防情報サイトで紹介されている応急処置の手順(スクリーンショット)

 日本救急医学会は2021年、熱中症への適切な対応を手助けするスマートフォン用の診断アプリを開発した。15項目の症状から当てはまるものを選ぶことで、熱中症の深刻度を判定でき、取るべき対応も表示される。アプリの入手方法は日本救急医学会のウェブサイトへ。

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