<参院選・ここに注目>表現活動どう向き合う 文化芸能部長・井上幸一

2022年6月30日 06時00分
 「高齢者がまだ来てくれない、家族に止められているようだ。世の中、盛り上がらないね」。政治家そっくりのキャラクターが笑いを呼ぶ社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」のスタッフが、参院選を前に嘆いていた。コロナ禍は続いており、舞台はいまだ普段の7割ほどの入りという。
 「不要不急」の言葉が踊った新型コロナの緊急事態宣言下、劇場や映画館など、文化芸能の場はその矢面に立たされた。「無観客」を要請された東京都内の寄席は「大衆娯楽は、社会生活の維持に必要」との論理から営業を続けたが、官房長官ら政権幹部が「協力を」と相次いで発言、結局は矛を収めて休業した。
 ことほどさように、本来は自由なはずの文化的活動は、政治から逃れられない面もある。ただ、このところ、その関係性が目立つ気がする。一時中止となったあいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」しかり、日本学術会議の会員候補の任命拒否問題しかり。
 先週公開された開催の裏側を映した東京五輪の公式映画(サイドB)にも多くの政治家が登場する。開閉会式の総合演出統括の任を途中で解かれた狂言師の野村萬斎さんが「日本の文化を、今、どれぐらい知っているのか、意識しているのか、希薄なものと思い知らされた」と語るシーンが印象に残った。
 参院が「良識の府」であるならば、少し長い目で、政党、候補者の文化活動への姿勢も見極めたい。「表現の自由」へのスタンスも含めて。

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