審査6年、安全対策に3400億円 女川、被災2基目「適合」

2019年11月28日 02時00分

宮城県の東北電力女川原発=2月

 原子力規制委員会は二十七日の定例会合で、東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に必要な安全対策をまとめた審査書案を了承した。これにより事実上、審査に適合したこととなり、東日本大震災の被災原発としては日本原子力発電の東海第二原発(茨城県)に続き二基目。国内の原発で最も高い防潮堤(海からの高さ二十九メートル、総延長八百メートル)を建設中だ。審査には二〇一三年十二月の申請以来、約六年を要し、これまでに適合した原発では最長。安全対策費は当初の想定を超える三千四百億円程度に膨らんだ。
 今後の意見公募などを経て数カ月後に正式適合の判断となる見通し。実際の再稼働は安全対策工事が終了する予定の二〇年度より後と見込むが、立地自治体から再稼働への同意を得る必要がある。この手続きを巡っては、女川原発で重大事故が起きた場合の住民避難計画に実効性がないとして、宮城県と石巻市に再稼働に同意しないよう求める仮処分を石巻市民が仙台地裁に申し立てており、難航も予想される。
 宮城県、石巻市、女川町の首長三人はいずれも取材に、再稼働への賛否を明らかにしなかった。
 女川原発は、事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ「沸騰水型」原発。沸騰水型では、東電柏崎刈羽6、7号機(新潟県)と東海第二が正式適合済みだが、再稼働に慎重な関係自治体の同意が得られていない。
 会合で規制委の山中伸介委員は「東北地方にある原発で、過去に大きな地震を経験しているので、構造物の耐震設計は慎重に審査してきた」と述べた。
 女川三基のうち1号機は廃炉が決まり、3号機は審査の申請を検討中。
 女川原発は震災の震源に最も近く、約一三メートルの津波が押し寄せた。審査は一三年十二月に申請。津波対策の前提となる基準津波は二三・一メートルと想定した。
 一七年一月の審査では、原子炉建屋の壁千百三十カ所に幅一ミリ未満のひびが見つかったと報告。震災の揺れとコンクリートの乾燥収縮が原因とみられ、建屋の機能に影響はないが、補修するなどの計画を東北電が示し、規制委が妥当と判断するまで約二年かかった。

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