参院選千葉 1票の現場から 護憲・平和運動 壁に直面 9条の理念 どう広めるか模索

2022年6月30日 07時26分

模索しながら、護憲・平和の考えを訴えることをあきらめない広瀬邦治さん(奥)ら=印西市で

 今回の参院選では、憲法改正に積極的な政党の議席が、改憲発議ができる定数の三分の二に達するかが焦点の一つになっている。一方、護憲や平和運動に取り組む市民たちは、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、揺れ動く国際情勢のもとで、憲法九条の理念をいかに広めていくか、模索を続ける。
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 印西市で六月五日、地元住民でつくる「印西九条の会」主催の「憲法を知り考えるつどい」が開かれた。憲法記念日に合わせた勉強会で活動の柱。コロナ禍で二年連続開催を見送り、事務局長の広瀬邦治さん(75)は「三年ぶりの開催です」と笑みを浮かべた。
 つどいの講演はウクライナ侵攻がテーマとなり、出席者からは「国際情勢に乗じて、防衛力増強や改憲の主張が強まっている。説得力ある反論をどう展開していくか」などの危機感が示された。
 広瀬さんは言う。「国際紛争の解決手段に『武力を使うな』というのが国連憲章で、それを体現しているのが日本国憲法の九条。現在の情勢下だからこそ、再認識やその理念を生かした外交交渉が求められると思うが、軍備増強などの勇ましい声にかきけされがち」
 母親の洋子さん(73)と、二〇〇五年の結成当初から会の活動に参加する悠子さん(39)=いずれも仮名=は「特に私と同世代以下は、平和や戦争は大きな関心事ではない人が多い」とみており、その一因に戦争体験の風化を挙げる。太平洋戦争後まもなく生まれた洋子さんの伯父は戦地で片足を失い、復員後に精神を病み、若くして世を去った。
 「身近な人が戦争で悲惨な目に遭ったのは、特別なことではなかった」と洋子さん。学校でも日常的に戦争を教わった。洋子さんから戦争体験を聞いて育った悠子さんは「理屈ではなく、体を引き裂かれたり、燃やされたりする戦争は『いやだ』『止めなければ』という素朴な感情が芽生えた」と語る。ただ、同世代以下で、こうした感覚を持ち合わせている人は少ないと認識している。
 悠子さんは、若年層が戦争など社会問題に目をそらす理由は、自身の学生時代以来、格差の拡大が顕著となり、人生を「勝ち組」「負け組」に分断する考え方が影響していると考えている。「弱い立場の人のために動くことで、自分が『負け組』と分類されるのを恐れている」
 三人とも護憲・平和運動が壁に直面していると感じながら、訴えていくことをあきらめない。悠子さんは予備校で長年、世界史を教えていた経験談を明かす。
 「受験技術を教えていても脱線して、世界の紛争や難民に話題が飛ぶことがあるんです。そうすると必ず食らい付いて関心を持つ子がいる。機会さえあれば、平和について議論ができる」(堀場達)

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