燃料費高騰に苦しむ老舗銭湯 入浴料に転嫁できず、貸しタオル有料化に<くらし直撃~2022参院選>

2022年7月1日 06時00分


燃料費の高騰に苦しむ銭湯「小杉湯」3代目の平松佑介さん=東京都杉並区で

 「お湯を沸かす商売なので、ダイレクトに影響が出ますよね」。東京都杉並区のJR高円寺駅近くで、1933年創業の銭湯「小杉湯」を切り盛りする3代目の平松佑介さん(42)は、ため息をついた。湯を沸かすボイラーの燃料費は、新型コロナウイルス禍からの景気回復による世界的エネルギー需要の高まりを受け昨年10月から上昇。今年に入り、ロシアのウクライナ侵攻や記録的な円安を受け、値上がりは加速した。
 燃料費に電気代を足した今年3月の経費は昨年同月に比べ6割、50万円の増加。入浴料は大人1人480円だから1カ月に1000人余りお客を増やすか、大幅な値上げをしなければ追い付かない計算だ。ただ、入浴料は「物価統制令」という法律で都道府県ごとに上限が決められており、単純に価格転嫁できない。
 4月には2代目が始めたフェースタオルの無料貸し出しをやめ、20円の有料化に踏み切った。「手ぶらで気軽に来てほしい」という小杉湯のサービス精神の象徴だっただけに、平松さんは「相当悩んだ」と振り返る。
 東京都は現在、入浴料を年代を問わず20円引き上げる方向で検討している。小杉湯でも近く12歳以上の大人は500円になる。平松さんは「10円単位で売り上げをどう積み上げていくかという商売なので、上限の引き上げはありがたい」と率直に語った。
 燃料費高騰は当面続く見通しで、経営は厳しい。いずれシャンプーも有料化するか、人件費をさらに削減するか。平松さんは「お客さんもスタッフも小杉湯が好きな人ばかり。そんな状況になれば、自分自身が相当こたえる」と苦しい胸の内を明かした。
 都内では荒川区のように社交場としての銭湯の価値を認め、燃料費を独自に補助する自治体もある。平松さんは「銭湯は孤立感が強まる社会で、絶対に必要な存在と自負している。国には対策を急いでほしい」と訴える。(川田篤志)


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