「死」をつぶやく子ども急増…「孤独対策、優先して」コロナ禍で児童生徒の不登校・自殺が過去最多に

2022年7月1日 06時00分

不登校や通信制学校の生徒が勉強する学習支援施設「高卒支援会」=東京都千代田区で

 都内に住む少年(17)は昨春に入学した高校を半年で退学した。「新型コロナウイルス対策で休み時間は会話が自粛ムードで、弁当も黙食。友だちをつくるきっかけがなかった」。それでも周囲は次第に友だちのグループをつくり、「置いていかれた」と孤独感が増した。他にもトラブルが重なり、まもなく不登校になった。

◆「コロナのせいで」うまくいかないことばかり…

 第1志望の高校でなかったことも影響したのかもしれない。中3の夏、得意の水泳で体育の内申点を上積みするつもりだったが、コロナ対策で中止。内申点は上がらず、「コロナのせいで」と不満が残った。「最初から後ろ向きな気持ちで入学し、悪循環になった」
 現在は通信制高校に編入。毎日、学習支援施設「高卒支援会」に通って、授業のサポートを受ける。だが不登校の間に夜中までゲームをするなど生活リズムが乱れ、今も時々寝坊をするなど影響は残る。「落ちるとこまで落ちた。これ以上悪くならない」と自らに言い聞かせて日々を過ごす。
 都内の飲食店アルバイト店員(17)は2020年春に高校に入学後、不登校に。「入学直後に緊急事態宣言で長期休校。その後、分散登校が続いてるうち、勉強についていけなくなった」
 卒業したくて週に1回は登校。学校行事は楽しみだったが、文化祭や体育祭、修学旅行と次々に中止に。結局、高2の終わりで中退。「思い出もつくれなかった」と寂しさが残る。

◆「子どもを大切にしない国に未来はない」

 コロナ禍で様変わりした学校生活は生徒の心を乱した。厚生労働省が悩み相談窓口として紹介するNPO法人「あなたのいばしょ」には、若者を中心にチャット形式で月約2万件の投稿が届く。投稿を分析すると、20年春の最初の緊急事態宣言期間は「コロナ」「不安」という言葉が多く使われたが、昨夏の宣言期間では「死」が最多で「学校」「友達」が次いだ。
 実際、「修学旅行は中止なのになぜ大人は好きなようにできるのか」「自粛疲れで『死にたい』と思うことが増えた」といった投稿があった。大空幸星こうき理事長は「当初は漠然とした不安だったが、休校や行事の中止で、友人とのつながりが断たれた。次第に孤立し、『死』が増えたのではないか」と指摘する。
 文部科学省の調査によると、20年度は小中学生の不登校が過去最多の19万6127人で、前年から8%増。厚労省によると、20年の小中高生の自殺者数は前年比25%増の過去最多499人で、21年も473人と高止まりした。厚労省の自殺対策有識者会議は今年4月、「学校行事や部活動が従前より行われず、生徒への心理的影響が長期的に危ぶまれる」と報告した。
 現在、休校は減り、学校行事も再開する一方、屋内のマスク着用や黙食は続く。選挙ではコロナ対策も争点だが、悩みを抱える子どもに寄り添った声は候補者からほとんど聞こえてこない。大空理事長は「何より子どもの孤独対策を優先してほしい。子どもを大切にしない国に未来はない」と強調した。(原田遼)

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