NATO 民主主義陣営の結束演出、中国・ロシアへの対抗前面に

2022年7月1日 06時00分
記者会見するNATOのストルテンベルグ事務総長=AP

記者会見するNATOのストルテンベルグ事務総長=AP

 ロシアを「最大かつ直接の脅威」、中国を「体制上の挑戦」と位置付けた北大西洋条約機構(NATO)の新「戦略概念」は、中ロの連携についても「国際秩序を損ねる」と警戒をあらわにした。会議は日本などアジア太平洋の友好国を招き、中ロに対抗する世界規模での民主主義陣営の結束を演出する場となった。(マドリード・加藤美喜、モスクワ・小柳悠志、北京・坪井千隼)

◆12年前は戦略的パートナー 今や…

 「12年前、ロシアは『戦略的パートナー』だったが、今や世界は変わり、欧州で戦争が起きている」
 NATOのストルテンベルグ事務総長は会議開幕に際し、前回の戦略概念を採択した2010年を振り返った。自身がノルウェーの首相として参加したリスボンでの会議には、ロシアのメドベージェフ大統領(当時)が招かれていた。
 今後10年の行動指針となる新しい戦略概念では「独立した強いウクライナは欧州大西洋地域の安定に不可欠だ」と指摘した上で、NATOの「抑止力と防衛力を大幅に強化する」とロシアの脅威に強い姿勢で臨む方針を鮮明にした。

◆敵ではない でも…

 ストルテンベルグ氏は記者会見で中国は「敵ではない」と語った。しかし、戦略概念の記述は「経済的なテコを利用して、戦略的に依存する国々をつくりだし、影響力を強化している」などと中国への懸念と疑心に満ちている。米ブルームバーグ通信によれば、米国がより強い表現を模索した一方、中国と経済面での結び付きの強いドイツなど欧州の複数の国が穏当な表現を求めた。
 首脳会議では日本を含むアジア太平洋4カ国の首脳が招かれた。ストルテンベルグ氏は「(中ロの)重大な挑戦をしっかりと認識し、パートナーとともに立ち向かうべきだ」と訴える。
 戦略概念でも、インド太平洋地域が欧州の安保に直接的な影響があるとして「NATOにとって重要」と盛り込んだ。戦略概念で中ロが「国際秩序を覆そうとしている」と触れた宇宙、サイバー(電脳)、海洋などは、地理的に離れた4カ国とNATOとの協力が想定される分野となる。

◆「対応の措置」「断固として反撃」

 対するロシアのプーチン大統領は29日、トルクメニスタンの首都アシガバートで開かれたカスピ海沿岸5カ国の首脳会議に出席。石油・ガス産出国の結束を強める狙いとみられる。
 プーチン氏は30日の記者会見で、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟が確実となったことについて、両国にNATOの軍事施設が置かれれば「相応の対応措置を取る」と警告した。「特別軍事作戦」と称するウクライナ侵攻については「期限について語る必要はない」と述べ、NATOの圧力に屈しない姿勢を誇示した。
 中国は、NATOのような多国間の軍事同盟が中国周辺に形成される事態への警戒を隠さない。中国外務省の趙立堅ちょうりつけん副報道局長は30日の記者会見で「NATOはアジア太平洋地域に触手を伸ばし、(冷戦時の)陣営対立を再現しようとしている」と批判した。欧州連合(EU)中国代表部は29日の声明で、戦略概念について「偽情報をまき散らし、挑発することはやめるべきだ」と反発し、「中国の利益を損なう行為には、断固として反撃する」と強くけん制した。

おすすめ情報

ウクライナ危機の新着

記事一覧