東電エリアの電力逼迫注意報を解除 想定外の需要…節電や融通で4日間綱渡り

2022年6月30日 22時03分
 経済産業省は30日、26日から発令していた東京電力エリアの「電力需給逼迫ひっぱく注意報」を解除した。記録的な猛暑となって電力需要が急増。企業や家庭に節電を求め、他地域からの電力融通なども最大限活用し乗り切った。太陽光の発電出力を実際よりも過大に予測するなど、真夏のピークに向けた課題も浮上している。(岸本拓也)
 ここ数日の電力不足の主因は、6月としては異例の猛暑によってエアコンなどの電力需要が真夏並みに増えたことだ。過去10年をみると、6月の最大電力需要は4700万キロワット程度だったが、今回の猛暑を受けて最大需要は、真夏並みの5600万キロワット程度(30日の予測値)に急増した。
 需要急増に対して、供給の準備は整っていなかった。通常6月は、7〜8月の需要のピークに備え、火力発電所などの多くが定期点検をしているためだ。脱炭素を受けて、火力発電の廃止が近年増えていることに加え、3月の福島県沖地震で大型火力2基が停止していることなども重なった。
 こうした状況の中、他地域からの融通も織り込んだ電力余力を示す「広域予備率」は最低必要な3%に迫り、経産省は26日に注意報を初めて発令した。
 経産省が節電を求めたのは午後3時以降の夕方の時間帯。実は太陽光発電の急増で、夏のピーク時の日中は需給に余裕ができており、最近の需給対策の「主戦場」は太陽光の出力が下がる夕方にシフトしている。
 節電が求められた27〜30日を振り返ると、最も余力がなくなる午後4時半〜5時の予備率は7〜10%ほど確保され、結果的に電力危機は生じなかった。
 要因は、需要面では家庭や企業の節電が大きく、経産省の担当者は「節電効果は数十万キロワット規模になるのでは」と推測。供給面では、余力のあった中部電力など西日本からの電力融通を目いっぱい活用したほか、老朽火力を再稼働させるなどした。それでも30日には稼働中の火力発電所が一時停止するトラブルもあり、綱渡りな状況だった。
 発電予測では課題も残った。送配電を担う東電パワーグリッドは27、28日夕方の太陽光の出力想定が、事前想定をそれぞれ150万キロワットと240万キロワット上回ると発表していたが、実際より過大な予測となっていた。東電の担当者は「今後、(予測の算出モデルを)どう補正するか検討する」と述べた。
 7月以降は、点検中の火力と水力が順次再稼働し、中旬までに約600万キロワット分の供給力が増える。需給は改善するが、政府は節電を引き続き求める。

おすすめ情報

気候変動/1.5度の約束の新着

記事一覧