海老蔵 團十郎襲名に抱負 歌舞伎座「七月大歌舞伎」

2022年7月1日 07時41分

歌舞伎座「七月大歌舞伎」について話す市川海老蔵=東京都内のホテルで

 延期されていた十三代目市川團十郎白猿の襲名披露公演を十一、十二月に開催することが発表された市川海老蔵(44)が、東京・歌舞伎座「七月大歌舞伎」の取材会に出席した。発表後、初の歌舞伎関連の取材会では、名乗って十八年になる「海老蔵」への愛着とともに、大名跡「團十郎」を継ぐことへの決意をにじませた。 (谷岡聖史)
 「自分だけのことではなくて、歌舞伎のために生きられる、生きる、ということが大きくなるんだろうなと思う」。海老蔵は、團十郎を継ぐ意味をそう表現した。
 市川新之助から海老蔵を襲名したのが二〇〇四年、二十六歳の時。海外での歌舞伎公演も、映画やCMなど他の分野もその名で活躍してきた。
 「皆さまに知っていただいている名前をやめて、誰も知らない團十郎という新しい世界に入っていくのは、勇気のいる行動でもある。自分のことだけ考えたら海老蔵のままでいいんじゃないかなって正直思ったりもする」。率直な思いを語る一幕もあった。
 襲名披露は当初、東京五輪開幕直前の二〇年五月に予定されていた。コロナ禍で延期になり、今年五月末にようやく新たな日程が発表された。海老蔵として残り四カ月、今後の舞台にはどう臨むのか。
 「どんな感情になるかは分からないが、『集大成にはしたくないぞ』というのが正直なところ。『続・歌舞伎の道』に自分を持っていきたい。特別な感情は持たない努力をしたい」と平常心を誓った。
 自身と同時に、長男の堀越勸玄(9つ)も八代目新之助を襲名する。「いよいよ新之助になるという気概で頑張っていましたが、襲名披露が延期され、落胆していた。それがようやく決まって、彼も“やる気のスイッチ”が入ってきた」と目を細めた。
 襲名披露の演目は発表されていないが、稽古を始めたという。「彼も二年半待って成長したわけですから、それを披露すべく用意している。彼の演目は、歌舞伎を知っている方は『えっ?』と驚くと思います」と期待を持たせた。

◆「夢見ていた」親子3人共演

「夏祭浪花鑑」で団七九郎兵衛を演じる市川海老蔵(2014年7月撮影、歌舞伎座)©松竹

 海老蔵は、七月大歌舞伎の第二部で義太夫狂言の名作「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」と、成田屋の芸である新歌舞伎十八番の舞踊「雪月花三景(せつげつかみつのながめ) 仲国(なかくに)」に出演する。長女の市川ぼたん(10)、長男の勸玄との共演で、本興行では初めて親子三人で歌舞伎座の舞台に立つ。
 義理人情と壮絶な殺し場が見どころの「夏祭−」。海老蔵は八年ぶりの団七九郎兵衛で、勸玄と親子役。災いを払うため精霊たちと踊る「−仲国」では、海老蔵が帝(みかど)の忠臣の仲国、ぼたんが女蝶の精、勸玄が男蝶の精をつとめる。
 ぼたんは「歌舞伎座でやらせてもらえるのでうれしい。一生懸命踊らせていただきます」と落ち着いた口調で抱負。勸玄は「堀越勸玄として舞台に出るのは最後なので、皆さま見に来てください」と元気に来場を呼びかけた。海老蔵は「三人で歌舞伎座に出るのを夢見ていた。親子で出るのは、歌舞伎の家として伝えていく作業がある。責任が増してきた」と話していた。七月大歌舞伎は四〜二十九日(十一、二十日は休演)。

歌舞伎座「七月大歌舞伎」で長男の堀越勸玄(左)、長女の市川ぼたん(右)と親子共演する市川海老蔵


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