戦争の悲劇、風化させない 「対馬丸事件」を紙芝居で さいたまのカフェ店主 小学生に読み聞かせ

2022年7月1日 07時44分

沈没の場面を読み聞かせる山田さん=さいたま市中央区の与野本町小で

 太平洋戦争中、沖縄からの疎開学童らを乗せた船が米軍の攻撃で沈没した「対馬丸事件」。記憶の風化を防ごうと、さいたま市中央区の与野本町小学校で三十日、事件を題材にした紙芝居の読み聞かせがあった。沖縄出身で、市内でカフェを営む山田ちづこさん(72)が対馬丸記念館(那覇市)から借り受けて実現。沖縄県外での実施は初という。(前田朋子)
 対馬丸事件は一九四四年八月二十二日夜、鹿児島県の悪石島近くで発生。学童や引率教員ら千七百八十八人が乗った船が米潜水艦の魚雷攻撃を受けて沈んだ。多くが船倉に取り残され、脱出しても台風の高波にのまれ、千五百人近くが犠牲になった。
 さいたま市内で「カフェギャラリー南風(みなかぜ)」を経営する山田さんは、沖縄の地上戦で祖父を亡くしている。友人の対馬丸記念館の理事に二種類の紙芝居を借り、カフェで開く子ども食堂で読み聞かせの会を開催。より多くの子どもに事件を知ってもらおうと、交流のあった同校の森裕子校長に企画を持ちかけた。
 この日の読み聞かせには児童や保護者ら約六百人が参加した。船に乗り込んだ幼い姉妹を描く「2つのランドセル」は、事件で犠牲になった学童の遺品のランドセルを基にした内容で、子どもたちは静かに聞き入った。
 三年の峰桜結美(さゆみ)さん(8つ)はウクライナ情勢のニュースに心を痛めているといい、「日本も戦争しないか心配。小学校が爆撃されたというし、どれだけ子どもが亡くなったんだろうと思う。いま普通に友達と遊べて、戦争がなくてよかった」と平和の尊さをかみしめた。
 山田さんは「低学年の子どもたちもよく聞いてくれた。過去にこういうことがあったと知るのが大事。平和の大切さを少しでも感じ取ってほしい」と話した。

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