<社説>女性の人権 性差別の国を変えよう 2022参院選

2022年7月1日 07時51分
 日本は、国際機関から男女格差の大きさが指摘されている。女性により多くの負担や我慢を強いる慣習や制度が残り、貧困や暴力、抑圧に苦しめられる女性が少なくないからだ。
 例えば就労の問題。国の統計では、二〇二一年の非正規雇用者は二千六十四万人。働く人の約四割が非正規雇用となり、その七割は女性が占める。
 介護や保育の現場で働く人も女性に偏っている。人の命や生活にかかわる仕事でありながら、その賃金は低い。それがまかり通るのは介護や保育を女性の仕事として軽んじてきたからではないか。
 女性の苦境はコロナ禍でさらにはっきりと見えるようになった。失業や自殺、DV(配偶者間の暴力)が急増した。
 性暴力の問題もあらゆる分野で深刻だ。当事者らによる告発や運動が広がり、人権問題ととらえられるようにはなった。被害を被害者の自己責任のみで片付ける見方は変わってきたが、対策や救済はまだまだ追いついていない。
 女性であるゆえに生きづらい社会を変えるには、男性中心で動いてきた政治の場に、女性を増やす必要がある。社会的マイノリティーも含め、多様な立場の存在が意思決定の場には不可欠だ。それが人々の意識を変え、社会に変革を迫る。世界を見渡せば、クオータ制(人数割当制)などの導入で女性議員を増やした国もある。
 日本では一八年、国会や地方議会の候補者を男女同数にするよう政党に求める法律が制定され、今回の参院選では全候補者に占める女性の割合は過去最高の33%に達した。立憲民主、共産両党は五割を超えたが、自民、公明両党は二割にとどまる。政権与党として責任放棄とのそしりは免れまい。
 婚姻時に夫婦同姓とする民法は女性に差別的だとして、一九九六年に法制審議会が答申した選択的夫婦別姓制度も実現していない。
 参院選は、女性の人権が置き去りにされていないか、性別によって差別されない国にするにはどうしたらいいか、深く考える機会でもある。各政党や候補者は女性の人権やジェンダー(社会的につくられた性差)平等にかかわる公約を掲げる。それぞれの主張を見極め、大切な票を投じたい。

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