原材料高の転嫁進まず、収益悪化懸念 日銀短観、景況感が2期連続悪化

2022年7月1日 11時37分
日銀本店

日銀本店

 日銀が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、代表的な指標である大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が3月の前回調査より5ポイント下落のプラス9となり、2四半期連続で悪化した。大半の規模・業種で、原材料高で費用が膨らんでいるほどには販売価格への転嫁が進まず、収益悪化の懸念を映し出す結果となった。
 仕入れ価格が「上昇した」との回答から「下落した」を引いた指数(DI)は、大企業非製造業(プラス43)、中小企業の製造業(同79)と非製造業(同58)で統計を取り始めてから最大となった。中小企業製造業では、販売価格DIもプラス35と過去最大となったものの、仕入れ価格の激しい上昇を十分転嫁する水準には至っていない。
 仕入れ価格の上昇は、ウクライナ情勢を受けた原油や穀物の高騰、中国のロックダウンをはじめ新型コロナウイルスの影響による原材料調達の滞りを反映している。これらは国外要因であり、先行きは極めて不確定だ。
 急速に進む円安の悪影響について、日銀は「原材料高ほど多くの声は聞かれなかった」と説明する。ただ、調査対象企業の想定為替レートは「1ドル=118.96円」と現在の水準より18円ほど円高であり、仕入れ価格に重くのしかかっている可能性がある。
 今回の短観は、中小を中心に多くの企業の利益減少を示唆した。賃金上昇への期待を妨げ、コロナからの回復過程にある消費者心理を冷やしかねない。(皆川剛)

関連キーワード


おすすめ情報