予算を増やして防衛力強化か、対話外交に重点か 敵基地攻撃能力保有の是非も論点に

2022年7月2日 06時00分
参院選「公約点検」 ④安全保障政策
 ロシアのウクライナ侵攻に加え、中国と北朝鮮の軍事的脅威が増す中で、各党は外交・安全保障政策を参院選の大きな争点に位置付ける。日本などにミサイルが発射される前に、相手国領域内で軍事拠点などをたたく敵基地攻撃能力の保有を含め、予算を大幅に増やして防衛力強化を加速させるのか、他国との軍拡競争と一線を画して対話外交に重点を置くかで違いが表れる。
 岸田文雄首相は昨年12月、防衛力の抜本的強化の方針を示し、敵基地攻撃能力の保有を検討すると明言。今年5月には、バイデン米大統領との首脳会談で、防衛費の「相当な増額」を表明した。
 政府は年末に予定する外交・防衛政策の長期指針「国家安全保障戦略」など3文書の改定作業を進めている。首相は検討を通じて、防衛力強化の内容と防衛費の規模、財源を「一体的に考えていく」と説明する。
 自民党は公約集のトップに外交・安保政策を明記。国内総生産(GDP)比で2%以上を念頭に、5年以内の防衛費の引き上げを目指し、敵基地攻撃能力から改称した「反撃能力」を保有すると掲げた。高市早苗政調会長は「国の守りが万全でなければ、国民生活も経済も存在しなくなる」と主張。財源は短期的には国債に頼り、その後は経済成長を通じて税収を増やして財源に充てる考えを示す。
 公明党は防衛力強化に理解を示す一方、防衛費は「真に必要な予算の確保を図る」と明記。事実上の数値目標を掲げた自民とは温度差がある。敵基地攻撃能力保有に関する方針は明確にしていない。野党では日本維新の会、国民民主党、NHK党が防衛力強化に力点を置く。
 一方、立憲民主党の泉健太代表は、防衛力の大幅な強化は軍拡競争を招く恐れがあると指摘。サイバーや宇宙分野など必要な防衛力強化とともに周辺国との緊張緩和のため「対話外交が重要だ」と主張する。ただ、公約の柱の一つに「着実な安全保障」を掲げ、現実に即した対応をすると強調する。敵基地攻撃能力に関する記載はあるが、保有の是非については明確にしておらず、泉氏は記者会見で問われても明言を避けた。
 共産党は外交による平和の構築を訴える。れいわ新選組の山本太郎代表は「日本は徹底した平和外交を貫くしかない」と主張。社民党は憲法の理念を生かした外交で平和の実現を目指す。(川田篤志)

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