香港・マカオ・広東省を一体化する経済構想も「ゼロコロナ」がネック 中国支配強化で香港の魅力減衰

2022年7月1日 21時35分
1日、香港市街地で通行規制する警官ら(AP)

1日、香港市街地で通行規制する警官ら(AP)

 【北京=白山泉】中国政府は、香港とマカオ、広東省を一体開発する計画を進めており、世界2位に成長した経済規模を利用して香港の抱き込みを図っている。一方、香港でも新型コロナウイルスの封じ込めを図る中国式「ゼロコロナ政策」が導入されるなど、急速に進む「中国化」によって金融・物流ハブとしての魅力が低下している。
 中国政府は、香港、マカオ、広東省9都市をまたぐ「グレーターベイエリア(大湾区)」の建設を進める。日本貿易振興機構(ジェトロ)香港の高島大浩ともひろ所長は「香港には富裕層はいるが、市場の成熟で伸びしろがない。ベイエリアの開発で香港企業の商圏が広がる」と話す。深圳と隣接する香港北部に250万人の居住区を造って経済圏を融合させる計画もある。
 返還時に中国の2割弱だった香港の域内総生産(GDP)は21年には2.2%にまで低下。香港経済の中国依存は加速しそうだ。
 しかし返還後も資本主義制度を維持してきた香港の市民には「中国本土とは違う」というプライドがある。香港域内で本土への入境手続きができる出入境所の増設も検討されているが、中国の警察官が常駐することに市民の抵抗が強い。
 中国政府の指示に基づく「ゼロコロナ政策」も、香港と中国本土の一体化に障害となっている。現在、香港と中国本土を往復した場合、計2週間以上の隔離が求められる。香港の企業経営者は「香港企業の多くは中国に工場などを持つ。日帰りで出張できないと香港に拠点を置く価値がない」と話す。海外から入境する際の水際対策の緩和も遅れており、シンガポールに移転する企業も増えている。21年末の香港の人口は19年末から12万人減って740万人。優秀な人材を集めてきた香港の魅力は失われつつある。

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