参院選千葉 1票の現場から 「高度な技術」国の事業で 船橋・海岸保全予算化 住民ら働き掛け結実

2022年7月2日 07時16分

国の直轄事業が行われる船橋漁港一帯。右上は海老川水門=いずれも船橋市で

 「住民の命と生活を守るために必要な事業であることを、国が認めてくれた」。船橋市南部の臨海部で、老朽化した護岸や水門といった海岸保全施設を整備してほしいと、地元住民らで組織した団体は、国土交通相や国交省幹部、官房長官、財務省幹部らに要望を重ねてきた。国が二〇二二年度当初予算に事業化予算を計上したことを報告する集会開催後、会長の大塚健吉さん(84)は笑顔で「良かった」と繰り返した。
 東京湾に接する船橋市湊町などでは、高度経済成長期に設置された護岸や水門、津波などを防ぐため陸上に設ける「胸壁(きょうへき)」などの老朽化が目立っている。耐震化も進んでいない。住民たちが再整備を求める運動を始めたきっかけは、一一年の東日本大震災。押し寄せた津波はあとわずかで護岸を乗り越えなかったものの、水門や排水機場が破損した。
 護岸に続く陸地側は、ゼロメートル地帯に住宅地と中心市街地が広がっている。万一、海老川水門などが破損し津波が襲来した場合、JR船橋駅北側まで浸水すると予想されている。このため地元自治会役員らが「護岸などの整備を」と住民運動を開始。市などとともに「船橋地区海岸保全施設耐震化促進協議会」を設立し、県とも連携しながら、再整備と耐震化を求めてきた。
 船橋漁港一帯は県が港湾管理者になっているものの、市や県との協議で、一帯の整備は「高度な技術が必要」として、国の直轄事業を求めることにした。海老川の水を海側へ押し出す船橋排水機場は二〇年度、二百一日にわたって稼働を続けており、工事中でも停止はできない。漁船などの船舶も行き来する中での難工事だけに、国の事業化を要望してきた。
 同促進協は国への働き掛けのほか、市内でのシンポジウム開催や、市民から集めた署名二万人余分も国に提出。こうした運動が実を結び、本年度は調査・設計、一部工事費などとして約五億一千万円が認められた。国交省によると、事業期間は二二〜三三年度で、総事業費は約三百億円の大規模工事となる。

本年度から国が事業化することを報告した集会

 国の事業化を報告する集会は四月二十六日、船橋市民文化ホールで開かれ、国交省や県の担当者が今後の計画などを説明。十二年間にわたる長期だけに、松戸徹市長は「予算が付いたから大丈夫、ではない。事業の完成に向け、ここからがスタートだ」と、参加した約五百人に訴えた。
 ただ、住民たちの運動を支援してきた、地元選出の前衆院議員木村哲也さん(52)は、取材に対し「国の予算獲得は甘くない」とくぎを刺す。「国の港湾予算は少なく、相手は神戸港や横浜港。南海トラフ地震への備えから西日本の港湾も整備を求めているだけに、船橋へ継続的に予算が振り向けられるとは限らない」
 促進協メンバーからは「水門の上を市民が通行できるようにしてほしい」「護岸整備が不十分な区域がある」といった声も出ており、今後も国などへの働き掛けが必要になりそうだ。(保母哲)

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