炎天下でもマスクつけたまま…学校は「外して良い」と呼びかけ 児童は「コロナが心配」

2022年7月2日 19時11分
舎人第一小学校で校内に掲示しているポスター

舎人第一小学校で校内に掲示しているポスター

 東京都内で最高気温35度以上の猛暑日が続く中、子どもの「脱マスク」が進まない。熱中症を防ぐため国は「登下校時に着用不要」と呼びかけるが、炎天下でマスクを着けたままの子どもも多く、学校側は対応に苦慮している。
 「マスクを外して良いんだよ」。1日朝、485人の児童が通う東京都足立区立舎人第一小学校の門で、渋谷あゆみ校長が児童に呼びかけた。自身もマスクを外し、2メートル以上離れた場所から声がけをする。
 この日、午前8時の足立区の気温は31度。児童の多くはマスクを着けて登校し、校長の呼び掛けを受けて外す児童もいた。2年生の男子児童(7つ)は「マスクを着けると口の中が熱い。学校に行く時と帰る時は外して良いと先生が言うので外す」。4年生の女子児童(9つ)は「暑いけどコロナが心配だからマスクを着けている」と話した。
 文部科学省は先月10日、「マスク着用で熱中症のリスクが高まる恐れがある」として、登下校や体育の授業ではマスクを外させるよう促す通知を全国の教育委員会に出した。
 舎人第一小では登校時の声がけや下校時の校内放送のほか、「体育の授業や休み時間等の運動時」などマスクを着ける必要がない場面を示したポスターを校内30カ所に掲示。山田実也副校長は「マスクを着け続けて身体の一部のようになり、外すことに抵抗がある児童もいる。熱中症予防のため根気強く声掛けをしていくしかない」と語る。
 区議会の文教委員会では先月30日、マスクを外しやすい環境づくりを求めて保護者らが出した請願が審査された。委員の一人は「子どもは何の疑問も持たず炎天下でマスク依存になっている。外せるように行政主導のアクションが必要」と訴えた。一方、別の委員からは「高齢者への感染を防ぐためにマスクを着けたい子どももいる」との意見も。区教委の担当者は「『マスクを着けよう』という同調圧力の存在も否定できない。外して良い場面を周知していく」と説明。請願は継続審査となった。
 墨田区教委は5月下旬、登下校などでマスクを適宜外すよう促す通知を区内の公立学校に出したが、担当者は「周りと距離がある状況でも着けたままという子どもが多い」と話す。
 同区保健所の西塚至所長は「この2年間外出控えが続いて子どもたちが外で汗をかく機会が少なく、熱に対する耐性ができていないことが想定される。マスクを外すよう子どもに呼び掛けをするなどして熱中症に最大限の注意を払ってほしい」と話す。(三宅千智)

◆都内の熱中症の死者、新型コロナの約6倍に迫る

 新型コロナウイルス対策としてのマスク着用について、感染状況を分析し、厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」は6月30日の会合で、感染リスクが低い場合は「マスクは必要ない」と改めて呼び掛けた。感染者数は増加傾向だが、熱中症予防の観点から「屋外では外すことを推奨」と明言。猛暑が続く中、東京都の熱中症の死者数は、新型コロナの死者数の6倍に迫る。
 東京都監察医務院の調べでは、6月22〜30日、熱中症による死者は計17人に上った。
 一方、新型コロナの感染者数は2週間連続で前週の同じ曜日を上回っている。6月22〜30日までの新規感染者数の累計は約2万2500人。ただ、この間、都内の新型コロナの死者は3人にとどまった。
 専門家組織の座長、脇田隆字・国立感染症研究所長は、感染増加の要因は「新変異株の拡大やワクチン効果の低減。マスク(を外すこと)が原因という議論はない」と強調。感染拡大の局面でも「そもそも換気されている屋外では、近距離で会話しない場合、マスクは必要ない」と話した。(沢田千秋)

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