政見放送 聴覚障害者に「壁」 埼玉県の協会が手話通訳配し「見る会」

2022年7月3日 07時53分

「政見放送を見る会」で各候補の訴えを参加者に伝える手話通訳者=三郷市で

 参院選の政見放送を巡り、耳の不自由な人たちが情報格差を訴えている。手話や字幕を付けるのは義務ではなく、候補者や政党の裁量に委ねられているためだ。県聴覚障害者協会は手話通訳を配した「政見放送を見る会」を独自に開くが、「国の責任で改善してほしい」と求めている。
 三郷市内で一日夜にあった「見る会」。埼玉選挙区に立候補した十五人の政見放送を、約二十人の参加者が見つめた。映像が流れるスクリーンの横に手話通訳者が立ち、各候補の訴えを伝えた。
 県選挙管理委員会が通訳を手配し、映像も十五人分をDVDにまとめて特別に貸し出したものだ。数えると、手話を付けた候補は八人のみ。ろう者の五十代男性は「心情的に手話を付けた候補に票を入れたくなりますね」と苦笑いした。
 協会は国政選挙のたびに見る会を企画してきた。字幕を表示できるテレビの普及で近年は参加する聴覚障害者は減っているが、「手話を第一言語とし、字幕だけでは完全に理解できない人も少なくない」と大内伸一事務局長は指摘する。
 今回の参院選ではさいたま、上尾、越谷など八市で計九回開催する。会場や機材の多くは協会の負担で準備。さらに多くの地域で開きたくても、資金的に難しいのがジレンマだ。
 協会はこうした負担に対する支援や、見る会の県民への周知を今秋にも県に要望するという。大内さんは「一票は誰しも平等であるはずなのに、投票前の段階で合理的配慮がなされていない。見る会を開かなくても済むようになってほしい」と願っている。
 見る会は一般の有権者も参加でき、無料。日程などの詳細は協会のホームページで確認できる。(近藤統義)

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