<いづらだより>(8)人気の無料コンサート

2022年7月3日 08時03分

ふれあいコンサートで演奏する県警察音楽隊。地元の中学生も合同で演奏する

 当館は茨城県北部に位置し、地域の芸術文化の発信基地としてさまざまなイベントを行い、美術以外の芸術にも親しんでもらっている。中でもコンサートは人気のイベントで、毎回多くのお客さまに来場いただいている。これまで数々のコンサートを開催してきたが、長く地域の方に親しまれてきたのは「ふれあいコンサート」「トワイライトコンサート」「新春邦楽コンサート」の三つである。今回はコンサートについて紹介したい。
 一つ目は県警察音楽隊と北茨城市内中学校の吹奏楽部員との合同による「ふれあいコンサート」である。
 警察音楽隊単独で演奏するコンサートは県内各地で年間百回ほど開催されているが、地域の中学生と合同演奏する取り組みは大変めずらしい。中学生にとって美術館で演奏するという機会はもちろん、高い演奏技術をもった警察音楽隊と合同演奏できる機会は大変貴重な経験といえる。しかも事前に警察音楽隊との練習日が設けられ、演奏する楽器ごとに隊員から丁寧に指導を受けられるまたとない機会になっている。警察音楽隊にとっても若さあふれる中学生との演奏はよい刺激になっているに違いない。
 当日は中学生の保護者、学校関係者はもちろんのこと、毎回コンサートを楽しみにしているファンが駆けつける。さらにコンサートの開催を知らずに来館した方も足を止め、一生懸命に演奏する中学生の姿に感動し、警察音楽隊の迫力ある生演奏にひき込まれるのである。
 続いて紹介する「トワイライトコンサート」は、今年で三十三回目を迎える歴史あるクラシックコンサートで、「トワイライト」の名のとおり日没後の薄明かりの雰囲気を楽しめるよう閉館後の落ち着いた空間で開催している。ピアノ、オーボエ、サックス、バイオリンなど出演者はバラエティーに富み、夕暮れ時の美術館を美しい旋律で包み込む。

日没後に行われるトワイライトコンサート=いずれも北茨城市の県天心記念五浦美術館で

 音楽専用ホールのない当館では、エントランスロビーが演奏会場となる。専門家によると天井が高く音が響くため、決してコンサート会場としてふさわしい場所ではない。しかしながら、建築家・内藤廣氏が設計した当館のロビーは、珪藻土(けいそうど)の壁と木の床、そして切り妻屋根が特長ある響きを生み出すのであろう。それだけではない。美術館という独特な空間と、その空間にインスピレーションを受けた演奏者の音楽が相まって心地よい雰囲気を醸し出す。なんとも不思議である。
 最後に紹介するのは一月に開催している「新春邦楽コンサート」である。箏(こと)や尺八など和楽器の演奏で正月を彩るイベントで、ピアノや弦・管楽器などと比べ聴く機会の少ない和楽器の調べは、聴く者に新鮮な感動を与えてくれる。また、出演者が曲の合間に楽器を紹介してくれることでなじみのない和楽器のことを知ることができるのも楽しみの一つである。
 これらすべてのコンサートは無料で鑑賞できる。コンサートを目的に初めて来館するお客さまもいる。少しでも美術館に興味をもっていただけるよう、これからもさまざまな楽器と多彩なジャンルの音楽による魅力あるコンサートを企画していきたい。(県天心記念五浦美術館 主任学芸主事 木内智美)=毎月第一日曜日掲載

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