パワハラを法律で禁止すべきか? 非正規の待遇改善は? 日本労働弁護団が参院選で主要政党にアンケート㊤

2022年7月5日 06時00分
 非正規社員と正規社員の待遇格差や、後を断たないパワハラやセクハラ、過労などわたしたちの働き方を巡る問題が深刻化している。日本労働弁護団は参院選を前に働き方をめぐる様々な問題について各党にアンケートを行った。パワハラについて、立民や共産が法律で禁止すべきと答えたのに対して、自民は「まずは現行法の施行」と回答。非正規と正社員の待遇格差問題についても格差是正のための新たな法整備が必要とする野党と、現行法による対応を主張する自民とで、考え方が分かれた。主要な項目を紹介する。公明、維新、NHK党にはアンケートを送付したが期限までに回答がなかった。(池尾伸一)

◆パワハラ、セクハラ対策をどうする

 ▽国際労働機関(ILO)条約批准は必要か
 パワハラやセクハラについては、企業に相談窓口の設置などを義務付ける防止法が施行されており、中小企業も今年4月から対象になっている。ただ、パワハラを明確に禁止する法律はなく、パワハラを禁ずる国際労働機関(ILO)の190号条約も日本政府は批准していない。
 追加的な政策の必要性について各党に聞いたところ、ハラスメントを禁止するILO条約については自民は「国内法制との整合性の観点からなお検討が必要」と回答した。
 一方、立民、共産、国民、れいわ、社民は条約批准が必要と回答した。
 ▽国内でのパワハラ防止法は必要か
 立民、共産、国民、れいわ、社民の5党は国内でも新たなハラスメント防止法が必要と主張。「セクハラを法律で禁止する」(国民)、「あらゆるハラスメントを禁止する法制の整備を目指す」(立民)、「労働法などに禁止規定を明記し、補償・救済制度を規定する」(共産)などと答えている。
 自民は現行法の施行状況を踏まえ「必要な対応を検討」と答えた。

◆非正規と正規社員の待遇格差をどうする

 ▽待遇格差解消の法整備
 正規と非正規の待遇格差是正については、政府は働き方改革関連法の一環で「同一労働同一賃金」政策として、賃金や手当で不合理な格差を原則禁じる法律(パートタイム・有期雇用労働法)を2020年に施行。2021年4月からは中小企業にも適用された。
 しかし、不合理な待遇格差はあちこちであり、追加的な法整備の必要性を各党に聞いた。
 自民は現行法による格差是正を主張したが、立民、共産、国民、れいわ、社民はさらなる法整備が必要と回答。具体策として、共産は「正社員を応募する場合は(非正規の)有期労働者を優先する」、立民は「企業の説明義務を加重する」などを挙げた。
 ▽無期転換ルールの実効性の確保策は
 5年以上同じ企業に勤めた労働者は、希望すれば無期の社員に転換されることになっている。いわゆる「無期転換ルール」であり、2018年4月から権利が発生している。
 しかし、5年になる直前の雇い止めや、採用時や契約更新時に「次回の更新はしない」という「不更新条項」を定めるなどでルールは骨抜きにされるケースも多いとされる。無期転換ルール自体を企業が働き手に教えない場合も多い。
 労働弁護団は、ルールの実効性を上げる対策の必要性を聞いた。①労働者に無期転換権があることを書面で明示する②労働者の意向を確認することを企業に義務付ける ③不更新条項の制限④無期転換権を行使したことを理由とする(労働条件の引き下げなど)不利益取り扱いを禁止する⑤その他⑥いずれも採る必要がない―を選択肢として提示。
 立民、共産、れいわ、社民が①から④までの対策がいずれも必要と回答。⑤の自民は「労働政策審議会の結果を踏まえて検討」、国民は「無期転換目前の雇い止めなどの懸念もあり施行後の検討を踏まえた措置を」と回答した。
 ▽無期転換ルールの地方公務員に適用すべきか
 無期転換ルールが地方自治体で働く非正規の公務員には適用されておらず、長く勤めた職員でも雇い止め(再任用拒否)される例が出ている問題については立民、共産、国民、れいわ、社民が非正規公務員へもルールを適用すべきだと答えた。
 ▽有期労働契約(非正規としての採用)の規制
 非正規の拡大を防ぐために非正規の形での雇い入れ自体を「一時的な業務の場合」などに限定する施策についても聞いた。
 自民は「雇用機会を減少させる」として反対の立場。立民、共産、れいわ、社民は非正規としての雇い入れの制限に賛成した。

◆フリーランス保護策の是非をどう考える

 会社に雇用されるのではなく、独立した立場で仕事するフリーランス(個人事業主)として働く人が急増している。中でも増えているのがウーバーイーツ配達員などネット経由で単発仕事をする「プラットフォームワーカー」「ギグワーカー」といわれる形態。失業手当や労災保険など雇われている労働者が受けられる安全網がないことが問題になっている。こうした働き手の保護策について聞いた。
 立民、共産、国民、れいわ、社民は新法や労働法改正による保護が必要と回答。共産は労災について「プラットフォーム企業の保険料負担」の必要性にも踏み込んだ。
 自民は「書面での契約のルール化」などが必要とした。

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