肥料高騰、農家悲鳴 負担増「年30万~40万円」にも【くらし直撃~2022参院選】

2022年7月4日 06時00分
コマツナを収穫する小原英行さん=東京都江戸川区で

コマツナを収穫する小原英行さん=東京都江戸川区で

◆うちはダメージが少ないほう…

 「ボーナスが1回、飛ぶようなもの。でも、うちはダメージが少ないほう」。青々と育つコマツナを背に、東京都江戸川区の農業小原こはら英行さん(44)は語りだした。コマツナの香りがビニールハウスに漂う。
 農業関連でも資材が値上がり。中でも肥料は尋常でない。全国農業協同組合連合会(JA全農)が6〜10月に地方組織に売る肥料は最大94%値上げされた。
 JA全農によれば、国際市況の肥料高騰に円安が重なったという。ここ数年、世界の人口増に伴う食糧増産で値上がり傾向。昨秋からの中国の輸出制限や、ウクライナ侵攻の経済制裁でロシアなどからの供給停滞で急騰した。肥料の多くを輸入する日本には打撃だ。
 「肥料だけで年30万〜40万円じゃないかな」。小原さんは負担増を見積もる。それでもダメージが少ないというのは、畑が25アールと小規模で、すべてビニールハウスだから。「大規模な露地農家ほど影響が出そう。広いほど肥料をたくさん使うし、雨が降れば肥料は流れやすいので」

◆使った肥料の量に応じた補助金を

 小原さんは知人の農業中島沙織さん(39)=群馬県太田市=に電話をかけた。中島さんは稲12ヘクタール(1ヘクタールは100アール)など、東京ドーム6個分超の計30ヘクタールほどで営農しているという。
 「いま、うちで使う小麦の肥料は20キロ1500円。2年前より300円高い。秋には2000円になるらしい」。小原さんの電話を借り、中島さんに聞くと、不安そうな声が漏れてきた。
 小麦の肥料は年8トンほど使う。予想通りに値上がりすれば、2年前より年30万円超の負担増。他の田畑もトン単位で使う。「まだ計算していないけど、赤字はなんとか避けたい」
 収穫時はコンバインが1日120リットルの軽油を消費する。軽油価格は今、2年前の1.5倍近い。経費が増しても、主に市場の競りや入札で生産物の値段が決まるのが農業。「値上げしたくても、農家に価格の決定権がない。補助金は必要だ」と中島さんは嘆く。
 参院選で、肥料高騰の対策を公約する政党もある。また、政府は6月末、値上がり分の7割を補助する方向で動きだした。どんな支援策が望ましいのか。中島さんと、小原さんの考えは同じだ。「使った肥料の量に応じた補助金が妥当。コロナ対策の時短要請で、飲食店の規模を考えずに一律の協力金を払ったことがあったけど、同じことをしちゃだめ」(梅野光春)

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