参院選千葉 1票の現場から 被災地への対応、機動的に 19年台風 情報共有難しく支援遅れ

2022年7月4日 07時32分

強風で折れた電柱=館山市で(市提供)

 「木は倒れ、屋根は飛び、壁ははがれ、崩れているお家(うち)もたくさんあります−(中略)−ふるさとの変わりように涙止まらず。車もアウト。でも、負けられない」「長時間の停電で情報も殆(ほとん)どありません」
 三年前の九月九日、千葉県鋸南町議の笹生あすかさん(41)はツイッターに、悲痛に満ちた言葉をつづった。
 二〇一九年秋の房総半島台風(台風15号)は千葉市で最大瞬間風速五七・五メートルを観測。県内では倒木が相次いだほか、最大約六十四万戸が停電し、全壊四百四十八棟、半壊四千六百九十四棟、一部損壊七万七千九十一棟などの被害が出た。
 県南部は特に被害が大きかった地域の一つ。通信網も大きな影響があり、携帯電話や固定電話の通信は制限された。
 「携帯電話は海(東京湾)沿いでかろうじてつながったが、つながらない地域が多かった。町職員が県に電話で報告しても電話回線の損傷などによりうまく伝わらなかった。本格的な支援がなかなか始まらず、陸の孤島にいるような感覚だった」。被災直後の苦労をそう振り返る。
 自身も自宅の窓ガラスが割れたという笹生さんの元には、当時、心配する知人から相次いで連絡が届いた。「南房総地域の情報がない」との声が寄せられ、笹生さんは「惨状が伝わっていない」と改めて痛感したという。

房総半島台風で根元から折れるように倒れた電柱=南房総市で(市提供)

 町の公式ツイッターもないなど発信態勢の弱さも感じていた。自らの声で積極的に発信を続けていると、徐々に、全国から物資が寄せられたり、ボランティアが訪れたりするようになったという。ただ、「国や県がもう少し柔軟で機動的に動いてほしかった」という思いは、今でも消えていない。
 被災当初、南房総地域の住民からも「市町村から情報が上がらないなら、国や県自ら収集するのが筋だ」との意見を多く聞いた。併せてこんな声も。
 「富津館山道路が四車線だったらもっと機動的に動くことができたのに…」
 南房総方面につながる館山自動車道は全線が四車線化されている。ただ、その南端に接続している富津館山道路(全長一九・二キロ)は現在、片側一車線の暫定二車線で運用。国土交通省は一九年、全線四車線化する方針を打ち出したが、実現する時期は未定だ。
 笹生さんはトンネル工事に伴う地下水への影響を懸念しつつ、「災害時のバイパス機能や観光面の強化などが期待される」と実現に期待を寄せる。
 「災害時にはおかしいと思ったら、すぐに来てくれるシステムの構築が大事。県民、国民を第一に、被災地の対応に当たってほしい」(山口登史)

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