お酒にも多様性(上)低・ノンアルコールが人気 みんなで健康に乾杯!

2022年7月4日 09時23分

4種類のベリーやパプリカ、ビネガードリンクなどをブレンドしたノンアルコールのカクテル=東京都千代田区のローノンバーで

 暑さが増し、冷たいビールやサワーなどが恋しい季節だ。一方で、近年は健康意識の高まりやコロナ禍で店での酒類提供が規制された影響を受け、ノンアルコールや低アルコール飲料に注目が集まる。これまで捨てられていた廃棄食材からお酒をつくる動きも。SDGsの視点から、お酒を取り巻く環境の変化を二回に分けて見る。 (熊崎未奈)
 東京のJR秋葉原駅の近く、オフィスや飲食店が並ぶ一角の「LOW−NON−BAR(ローノンバー)」。革張りのいすが並び、照明が落とされた店内は大人の店といった趣だが、提供されるのはノンアルコールや低アルコールの飲み物だ。
 季節のフルーツやスパイスなど幅広い素材を使ったモクテル(ノンアルコールのカクテル)を中心に、三十〜四十種類が楽しめる。好みに応じてアルコールを加え、強さを調整する。
 客の年代は二十〜五十代と幅広く、女性が六割。酒が強い人も弱い人もいてさまざまだ。店長でバーテンダーの高橋弘晃さん(36)は「アルコールが飲めても飲めなくても、楽しめるバーを目指している」と話す。価格は、アルコールを出す通常のバーと同じぐらいだ。
 近くで働く会社員女性(27)は、酒が苦手な会社の先輩と初めて訪れた。梅を使ったモクテルなどを注文し、「ジュースと違って味や香りが複雑で、ゆっくり味わえた」と満足げ。酒は飲めるが、仕事が忙しく生活が不規則な時期は、健康を気遣ってノンアルコールの梅酒やレモンサワーを自宅で楽しんでいるという。
 サントリービールが昨年九月、首都圏の男女三万人に実施した調査によると、ノンアルコール飲料を飲んだことがある人は56・4%。二〇一八年の調査開始以降最多となった。市場規模も年々拡大しており、二一年は過去最大になる見込みだ。
 ノンアルコール専門の商社「アルト・アルコ」(東京)社長の安藤裕さん(31)は、消費税増税といった経済的要因や健康意識の高まりに加え、飲酒に対する意識の変化が背景にあると分析する。「若い世代は酔うことよりも、味わいや香り、食事との相性を大事にする人が増えた」と話す。
 大手酒類メーカーも力を入れる。アサヒビールは全商品のうち、ノンアルコールとアルコール度数3・5%以下の商品の割合を二五年までに、現在の9%から20%に拡大する。六月三十日には東京・渋谷に、アルコール分0〜3%のドリンク約百種類を提供する「スマドリバーシブヤ」をオープンした。
 担当者は「飲める人、飲めない人、あえて飲まない人など誰でも楽しめる環境を会社としてつくりたい」と話す。SDGsの健康分野は、アルコールの過剰な摂取防止を目標の一つに掲げる。酒類メーカーに求められる社会的責任は増しているといえる。
 アルト・アルコの安藤さんは、SDGsの「不平等をなくす」という視点も、こうした流れの一因と指摘する。アルコールが苦手な人にとっては、飲食店で選択肢が少なかったり割り勘で損をしたり、酒が飲める人と同じ満足度が得られない場面も多かった。
 同社は、炭酸を含まないノンアルコール飲料や、食事の味を引き立てるドリンクなど新たな商品の開発にも力を入れる。「ニーズはまだまだある。飲み方の多様性を今後も広げたい」
 ◇ 
 十八日は、食パンの耳など廃棄食材からつくるお酒を取り上げます。

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