【東京舞台さんぽ】「窓ぎわのトットちゃん」 学園由来の「自由が丘」

2022年7月4日 13時59分

「窓ぎわのトットちゃん」

 黒柳徹子さんの自伝的物語「窓ぎわのトットちゃん」は、東京都目黒区自由が丘にあったトモエ学園で過ごした学校生活を生き生きと描いた作品だ。自由な校風の小さな学校は、駅や街の名前に関わりがあり、進取の気風がある街を象徴する場所でもあった。(共同通信=酒井由起子)
 東急線の自由が丘駅から歩いて約2分。トモエ学園の跡地は、2023年秋に開業予定の商業施設が建設中で、パネルで囲われ中は見えない。工事前は記念碑があった。
 トモエ学園は、昭和初期に教育者手塚岸衛が自由教育を旗印に創設した「自由ケ丘学園」小学校が前身だ。手塚の死後、小林宗作が同学園を引き継ぐ形でトモエ学園を設立したが、空襲で校舎は焼失し、廃校になった。
 自由が丘駅の駅名は自由ケ丘学園に由来する。開業時は九品仏駅だったが、現在の九品仏駅の建設に伴い、改称することになった。この地に移り住んでいた西洋帰りの舞踊家石井漠ら文化人たちが名称変更を求めて熱心に活動し、1929年に自由ケ丘駅(後に自由が丘駅に改称)になった。
 駅名は市民権を得て正式な地名となり、人々は戦時中もこの名前を守り通した。自由が丘商店街史によると、自由が付いた地名はふさわしくないと、憲兵隊から変更の達しが出たが、住民たちは譲らなかったという。
 戦後も、焼け野原となった駅前に新しく広場を設けるなど、街の人々は積極的に街づくりに関わってきた。駅前に立つ女神像の傍らに、そうした歴史が記されている。
 自由が丘商店街振興組合の事務長中山雄次郎さんは「この街は、自由の精神や空気を、教育や芸術を通じて育んできた。現在も新しいものにとても寛容です」と話す。
 九品仏川緑道を通り、トットちゃんたちが散歩した九品仏浄真寺(世田谷区)へ。9体の阿弥陀如来像が有名だが、境内には物語に登場する「天狗さまの大きな足跡の残ってる石」や「流れ星が落ちてる」井戸がある。
 【メモ】記念碑は商業施設の開業に合わせ、再び設置される予定。

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